「ヤングシナリオ大賞」受賞者が決定!
12月3日に「第27回フジテレビヤングシナリオ大賞」の大賞および佳作作品が発表された。
大賞を受賞したのは青塚美穂さんの「超限定能力」。ひょんなことから電車内の乗客の頭上に降車駅が浮かんで見えるようになった男子大学生を描いた作品で、審査委員長を務めた高田雄貴プロデューサーは「この作品が優れているのは、電車に乗ったことのある人は誰もが思ったことがあるだろうという願望を設定にしているという点です。あと、作品の節々に青塚さんの人間に対する温かさが出ていたので、この時代に温かみのある作品が書ける脚本家として、非常にすてきな人材だと思いまして対象にさせていただきました」とコメント。
佳作は3作品。槌谷健さんの「人体パズル」は、オカルト専門の出版社に出向することになった新聞記者が主人公。謎のQRコードを追い、そのURLから入手した3Dプリンターのデータを出力し、出てきた塊をつなげていくと…というホラー作品で、「全体的な構成が素晴らしかった。完成度は一番高かったかもしれない」と高田P。
「特筆すべきは、キャラクターがよく描けていた点。もともと将棋をやっていたのかと思ったら、このために将棋を取材したという取材力にもびっくりしました」(高田P)という井上聖司さんの「龍に成る」は、出版社に内定をもらった主人公が、そのアルバイトとして棋士の取材をすることになるが、そこで出会ったのは昔自分がいじめていた男の子で次第に感化されていく、というストーリー。
峯邦雄さんの「ゴーン・アイデンティティ」は、人類が特定部分の記憶を一斉に失ってしまった地球を描いた作品。高田Pは「着眼点が面白いと思いましたし、非常に人間の描き方が上手だなと思いました」と評した。
大賞を受賞した「超限定能力」は、フジテレビにて12月20日(日)夜0時45分から放送される。
■青塚美穂さんコメント
まさか自分が歴史あるヤングシナリオ大賞の大賞を頂けるなんて夢にも思っていなかったのですごくうれしいです。きょうは始まりであって、受賞したことは置いといて、次に向かって行かなきゃいけないなと思います。
■槌谷健さんコメント
私はヤングシナリオ大賞を第一の目標と決めて、第17回から応募し続けてきていました。毎年の締め切りが私にとっては一年の終わりのようなイメージでしたので、本当に感無量です。まだ佳作を頂いただけですので、ひとつでも多く実際に放送される作品に携われるようにしたいと思います。
■井上聖司さんコメント
今回はこのような栄誉ある賞をいただきまして心からうれしく思っています。ただ、大賞を取りたかったので、佳作で残念に思っている面もあります。脚本を書く前は役者の活動もしていまして、売れない時代を共にした稲葉友という仮面ライダーをやった役者がいるんですが、僕の連絡が既読になっているのに返信が返ってきてないので、これをきっかけに「あいつ受賞したんだ」って連絡があったら無視してやろうと思います(笑)。
■峯邦雄さんコメント
タイトルも中身も変なこんな作品が絶対に残るわけがないと思って応募のボタンを押したのを今でも覚えているんですが、それが今回こうやって残って、大変ありがたく思っています。僕はこの受賞者の中では挫折した回数が一番多いと思うんですが、挫折の多い者としては続けることの難しさは本当に身に染みて分かっていて、ここから自分はどうしたら続けられるんだろうということを考えています。それをまた一から学びながらやっていけたらいいなと思っています。
12月20日(日)夜0:45-1:45
フジテレビで放送