上川隆也「志田さんはフォームが美しいんです！」
1月17日(日)に放送されるドラマスペシャル「検事の死命」(テレビ朝日系)で、主人公の検事・佐方貞人を演じる上川隆也と、検察事務官・増田陽子を演じる志田未来に対談インタビューを敢行。前編・後編に分けて紹介する。
前編では、“佐方シリーズ”復活の感想やお互いの印象などを語ってもらった。
――佐方シリーズ復活ですが、上川さんはすんなりあのキャラクターに戻れましたか？
上川：全く無理なく戻ることができました。佐方という男の持ち味と言いますか、キャラクターがそれなりに濃かったので、佐方貞人を演じるのには何の抵抗もハードルもありませんでした。ただ、時間軸をさかのぼって演じることに関しては少しだけどうしようかと考えました。
――志田さんは本作で仲間入りしましたが、感想は？
志田：(第1弾の)「最後の証人」を見せていただいていたので、佐方の世界に自分も入れるということをうれしく思いました。私が演じる陽子は、すごく素直で真っすぐな女の子です。ストーリー自体は痴漢の冤罪(えんざい)を扱っていて、誰の身にも起こり得る身近な事件。
本当にシリアスな場面が続いていくのですが、その中で無邪気な陽子の存在が作品に変化をもたらしますし、感じたことが表情やせりふに出てしまう面白いキャラクターだなと思って、楽しみながら演じさせていただきました。
――お互いの印象を教えてください。
上川：よくお芝居は“キャッチボール”に例えられることがありますが、それになぞらえるのなら返ってくるボールは的確ですし、素早くも緩急も投げ分けられるし、さらに言うならばフォームが美しいんですよ。そういうお芝居をなさる方だなあと思いました。(志田に)…そんな疑わしい目で見ないでください。本当のことを言っているんですから(笑)。
一緒にお芝居をしていて、とても心地いいです。かゆいところに手が届くようなお芝居をしてくださる方ですね。
志田：上川さんにそんなふうにおっしゃっていただくことは初めてなので、むずがゆいです(笑)。
上川：面と向かっては言えませんよ(笑)。「志田さんはフォームがきれいだね」って、現場でそんなことを急に言いだしたらおかしな人と思われるだけでしょう。
志田：(笑)。上川さんにはお芝居はもちろん、現場での在り方と言いますか、そういうところも学ばせていただきました。スタッフさんとの接し方一つとってもそうですし、私や共演者の方も居やすい空気を作ってくださいます。
常にお芝居をしやすい環境を作ってくださるのでありがたかったです。私は前回の作品に参加していないのですが、全然そんな感じもせず、本当に居心地のいい現場でしたし、上川さんのおかげで楽しかったです。
――人となりの部分では、お互いに以前から思い描いていたイメージとかけ離れていると思ったことはありましたか？
上川：僕が志田さんに対して何を思っていたのかはともかく(笑)。実は志田さんが本当に小さいころに一度ご一緒させていただいたことがあって、その成長ぶりと言ったら失礼ですが、こうやって再びお会いできた感慨はありました。
お芝居の立ち居振る舞いを含めて、“申し分のなさ”がそれに輪を掛けていました。でも、現場ではご本人に申しておりません(笑)。
――上川さんと共演される女性にお話を聞くと「(上川さんは)一見寡黙でクールなのにとても面白い方」とよく聞きますが、志田さんはどう思われましたか？
志田：おっしゃる通りでした(笑)。私が勝手に想像していたより、おちゃめな方だなと思いました(笑)。
上川：ははは(笑)。そうですか？
志田：はい。真顔でジョークを言われたり、私がアニメや漫画が好きなんですけど、上川さんもお好きだと聞いていろいろな漫画の話をしてくださったり、そういった一面もあるのだなと思いました。
上川：そういえば、現場で志田さんにお薦めした漫画が、'15年の「マンガ大賞」で1位になったんです。それはちょっと心の中でガッツポーズをしました(笑)。僕の“選球眼”に間違いはなかったなと。
――お互いの役どころはある種、上司と部下ですが、理想の上司像と部下像という意味ではどうでしたか？
上川：弁護士になってからはまた違うと思いますが、検事としての佐方にとってはベストパートナーだと思いますね。検事の佐方は、自分の仕事に対してある種の核心のようなものが強くあると思うんです。
弁護士の佐方はそれを一回ドロップアウトしてしまっているからこそ、検事時代の人との確執や、自分の中でのある種の傷もあるのかもしれません。だからこその立ち居振る舞いがあったかと思うんですけど、今回はそれを一切考慮することなく動き回れていたように思います。
猪突猛進に突き進む佐方に食らいついていこうとする陽子の立ち居振る舞いというのは、やっぱり検事の佐方にとってはありがたかったんじゃないかなと思うんですよ。そういう意味では演じていて僕自身助かった部分ですし、その空間はとても心地いいものでした。
――それは事前に打ち合わせをしたというより、その場の感覚ですか？
上川:そうですね。撮影を始めた当初から志田さんはそういう空気で臨んでくださいましたので、特にこうしてほしいというお願いは一切申しておりませんし、むしろその立ち居振る舞いに助けられました。今回、そういう形で志田さん演じる陽子にパートナーシップを取っていただきました。
――志田さんはどうでしたか？
志田：理想の上司か、そうじゃないかで言えば…ちょっと申し訳ないんですけど、理想とは掛け離れているのかなと思います(笑)。やはり、どんどんどんどん周りを見ずに突っ切っていってしまうので、それについていくのはすごく陽子も必死なのかなと思います。
でも、佐方さんと出会えたからこそ陽子自身も成長できたのかなと思う部分もありますし、理想ではないけど勉強させてもらったのだと思いました。佐方さんがぽろぽろ落としていったものを拾っていき、真っすぐに突っ走るのに必死で食らいつく。ある意味陽子にとっては大変な期間だったのではないかなと思います。
【志田未来「休みがもらえたら予定を詰め込みます」へ続く。同記事は1月11日昼2時に掲載予定】
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
1月17日(日)夜9:00-11:10
テレビ朝日系で放送
