第122回ザテレビジョンドラマアカデミー賞総評

2024年10月クールは各局が力を入れたオリジナルドラマが充実。その中から、野木亜紀子脚本による「海に眠るダイヤモンド」(TBS系)が作品賞、主演男優賞(神木隆之介)、助演女優賞(杉咲花)、監督賞、ドラマソング賞の5部門を制覇した。「廃墟の軍艦島止まりだった端島の印象を変えた」「炭鉱閉山までと現代の東京を巧みに行き来させ、壮大な物語で魅了した」と高く評価された。

同じTBS系の「ライオンの隠れ家」もオリジナル作(徳尾浩司、一戸慶乃脚本)。自閉スペクトラム症の弟をケアしながら生きる青年と謎の子“ライオン”の交流を描き、「家族の形や愛情とは何かを考えさせられる」と評判に。弟役の坂東龍汰が助演男優賞を初受賞した。作品賞をはじめ、主演男優賞、監督賞、ドラマソング賞でも2位に入った。

脚本賞は「全領域異常解決室」(フジテレビ系)の黒岩勉。「超常現象や神といったテーマを打ち出した斬新なドラマ」と興奮を呼び、作品賞でも4位に入った。

大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合ほか)も2024年12月で完結。紫式部こと主人公のまひろを熱演した吉高由里子が、主演女優賞を獲得した。脚本の大石静が描く平安の宮廷ロマンスに幅広い世代の人が夢中になった。

NHKのドラマでは、伊予原新原作、澤井香織脚本の「宙わたる教室」(NHK総合ほか)が、「定時制高校の教師と生徒の交流という一見地味な題材だが、人の心に寄り添う物語だ」と評判となり、作品賞3位など各部門で上位に食い込んだ。また、海外ドラマの手法に倣い、4人の脚本家でチームを組んだオリジナル作「3000万」(NHK総合ほか)は、作品賞5位。「ぞくぞくする展開で、エンターテインメント性と社会性を両立させた」と注目された。

受賞一覧

【PR】お知らせ