第124回ザテレビジョンドラマアカデミー賞最優秀作品賞 受賞インタビュー

(C)フジテレビ

波うららかに、めおと日和

皆さんの口コミに育ててもらった作品です(宋ハナP)

最優秀作品賞、おめでとうございます。そして、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、監督賞と合わせて5部門受賞となりました。

本当にありがたく思っています。第1話の放送後からSNSやメール、電話などでたくさんの反響を頂いて、「毎週木曜日が楽しみです」と言ってくださる声が多く、その思いがこのような形で評価につながったことを、スタッフ・キャスト一同、とてもうれしく思っています。

原作(西香はち作の同名漫画)のドラマ化は、以前から構想があったのでしょうか?

とてもすてきな作品なので、キャストがうまくはまれば面白くなるという手応えは初めから感じていました。


投票した読者や記者からは「夫婦になってから、だんだん2人の距離が近づいていく様子を楽しめた」「現代では経験できないような、うぶな恋愛模様にキュンキュンさせられた」「朝ドラの恋愛版とでもいうべき発明だ」という意見が寄せられています。

私自身、昭和初期の雰囲気がすごく好きで、当時の夫婦像や価値観にもひかれました。戦争が始まる前の、まだ穏やかな日常もあった時代に心を通わせていく2人の姿がとてもいとおしくて…。おそらく、なつ美と瀧昌にとっては結婚が初恋だったわけで、ドラマを見てくださる皆さんも、好きな人に近づきたいけれど近づけない、相手からちょっとした反応があっただけでもうれしいというような初恋の記憶を重ねて見てくださったのでは。


まさに少女漫画的世界でしたが、もともと、宋Pは少女漫画の愛読者なんですか?

子どもの頃からずっと好きです(笑)。「花より男子」のような少女漫画の王道も読んでいましたし、現在でも話題になった作品や、この原作のようにちょっと大人向けのものも含め、読んでいます。今回は、自分が好きなラブコメ路線のドラマを作れた、といううれしさもありました。


“キュンキュン感”の演出はかなり意識されましたか?

心がけました。ただ、私が「もっと攻めてもいいんじゃないか」と思ったときは、演出の平野眞さんと森脇智延さんが絶妙にブレーキをかけてくれました。でも、おふたりとも、とてもロマンチストなので、ちょうどいい“ときめきの塩梅(あんばい)”を見つけられたと思います。本当に楽しい作業でしたし、編集の段階でも毎回ドキドキしていました(笑)。


視聴者の反応は、どのあたりで実感されましたか?

第1話の放送直後からすごい反響でした。想像を上回るリアクションを頂いて、「この作品がちゃんと届いている」と感じましたね。特にSNSでの感想はすごく具体的で、私たちが狙っていなかった部分まで丁寧に見てくださっていて…。皆さんの口コミに育ててもらった作品です。タイトルバックの映像をちょっとずつ変えたり、最終話のエンディングで主題歌「夢中」(BE:FIRST)に合わせ、登場人物たちが歌詞をセリフのように口パクしたりすると、リアルタイムですぐ気づいてくださって、そういった熱い反応がうれしかったですね 。


なつ美役の芳根京子さんが主演女優に輝きました。

芳根さんは初めてご一緒しました。こちらが心配になるほどの頑張り屋さん。1月クールも主演ドラマがあって(TBS系「まどか26歳、研修医やってます!」)、6月から舞台の出演があるのは分かった上でオファーしたのですが、引き受けてくださって、スケジュール的にかなり大変だったと思うんです。でも、明るく現場を盛り上げつつ、スタッフにも細かく気を配りながら現場を引っ張ってくれました。皆さんがなつ美を「かわいい」と思ってくださったのも、芳根さん自身がすてきな人だからだと思います。


瀧昌役、本田響矢さんは助演男優賞を受賞。「かっこよくて、女性慣れしていないところがかわいい」と大人気になりました。キャスティングの理由を教えてください。

瀧昌役は「初対面から始まる結婚生活」という前半の設定において、なつ美の目線から物語を展開するため、初対面の印象とその後の展開で見えてくるギャップも含め視聴者にとっても“未知の存在”であってほしかったんです。そして、本田さんに実際にお会いしてみると、とても真面目で、また、ちょっと不器用なところが“瀧昌さま”にぴったりだと感じました。


助演女優賞を受賞した山本舞香さんや、和久井映見さんの演技も光っていました。

山本さんは早い段階で芙美子役をお願いしていました。洋装が多い役柄で、見た目も華やか。でも「けなげ」ということでは、なつ美と共通しています。人との距離を縮めていく姿でも、山本さんの演技から芙美子の持つ芯の強さが伝わってきました。郁子役の和久井さんは、瀧昌のお母さん代わりでもあり、なつ美にとってはお姉さん的存在でもある存在として、作品全体に温かさをもたらしてくれました。かわいらしくもあり、重みもある。和久井さんがいたからこそ、この昭和11年の世界観が成立したと思っています。


昭和11年が舞台ということで、その5年後には太平洋戦争が始まるわけですが、原作コミックがそこに近づいている一方、ドラマでは戦争を描きませんでした。

そうですね。原作では戦争の影が色濃くなっていきますが、今回はそこまで描かない選択をしました。瀧昌は帝国海軍の中尉で、戦争の足音がしているからこそ、何げない日常がさらにいとおしく感じられたと思います。戦争を最後に持ってくる展開もあると思っていたんですけど、なつ美と瀧昌の日常を視聴者の皆さんが好きでいてくれて、その日常が崩れるのはあまり望まれてない感じがしました。


撮影スケジュールがわりとギリギリだったので、リアルタイムの反応を見ながら展開をアレンジできたということですね。

皆さんの反応を見ながら、脚本の泉澤陽子さんや監督陣と話し合って調整していけた部分も多く、結果的に喜んでいただけて良かったです。


芳根京子さんは「おかえりと温かく迎えてくれる実家のような現場だった」と言っていましたが、現場の空気はいかがでしたか。

最高でした。キャストとスタッフのみんながこの作品とキャラクターたちを心から愛していて、全員で一緒に作品を作っているという空気が濃くありました。そこには芳根さんの存在が大きく、立て込んでいる撮影でも誰よりも明るく「おはようございます」とあいさつしたり、細かく気遣う芳根さんの優しさが伝染していき、現場全体の空気を温かくしてくれました。

「波うららかに、めおと日和」の世界観そのままの穏やかな現場でした。プロデューサーとしては、またこういった環境でドラマを作りたいと思っています。

(取材・文=小田慶子)
波うららかに、めおと日和

波うららかに、めおと日和

芳根京子主演で、昭和初期を舞台に交際ゼロ日婚の新婚夫婦の甘酸っぱい時間を描く、ハートフル・ラブコメ。なつ美(芳根)は帝国海軍に所属する瀧昌(本田響矢)と婚約することに。しかし、結婚当日、一度も会ったことがない瀧昌は仕事のため現れない。夫不在の中、結婚生活が始まっていく。

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