第124回ザテレビジョンドラマアカデミー賞主演女優賞 受賞インタビュー

(C)フジテレビ

芳根京子

本田(響矢)くんとは「一緒に作っている」という感じがありました

「波うららかに、めおと日和」で「表参道高校合唱部!」(2015年TBS系)以来、10年ぶり2度目の主演女優賞受賞、率直な気持ちを教えてください。

ありがとうございます。本当に光栄です。「表参道高校合唱部!」のときもすごくうれしかったんですけど、あの頃は18歳、右も左も分からないままで…。でも今回は、こうやって賞を頂けることがどれだけありがたいことか、とより強く実感していますし、「波うららかに、めおと日和」は大きなターニングポイントになった作品だったので、こうして評価していただけたことが、素直にうれしいです。

芳根さんは2期連続主演。1月クールの「まどか26歳、研修医やってます!」(TBS系)でも読者票がたくさん入っていました。

「まどか26歳、研修医やってます!」のときは「みんなで作る賞」に選ばれてすごくうれしかったのと同時に、ちょっと悔しかったんです。でも、思いがけず、すぐにまた挑戦でき、今回は作品賞なども頂けたので、リベンジできたような気持ちに(笑)。うれしいですね。


「波うららかに、めおと日和」がターニングポイントになったというのは、どういう点ですか?

新婚夫婦のかけがえのない日常を描く物語で、何か大きな事件が起きるわけでもないし、登場人物も基本的には、なつ美と瀧昌(本田響矢)の2人だけで、ほとんどが家の中でのシーン。テンポの速いドラマが多い今の時代に、どうすれば皆さんが飽きずに見続けてくれるか、かなり考えました。そこで自分がどう力になれるかを意識し、全体を俯瞰で見ることが多かったです。それだけに演技でも「攻めていかなきゃいけない」感覚は常にありました。すごくチャレンジングな期間でしたね。


投票した人たちからは「なつ美のけなげさ、ピュアさをこれだけかわいらしく、嫌味なく演じられるのは芳根さんしかいない」という意見が多数寄せられました。

ありがとうございます。“見た目がかわいい”というより、“瀧昌さまを精一杯思っているなつ美がかわいい”という方向に振ることができればと考えていました。でも、結局、顔芸みたいになっていましたね(笑)。私が少しやり過ぎたかなと思ったときは、平野眞監督をはじめ監督さんたちが「そこは引こう」とちゃんと止めてくれたので、安心して挑戦できました。


芳根さんがヒロイン役を演じてきた数々のドラマの中でも、かなりコミカルに振った場面が多かったですが、ラブコメで演技するのは楽しいですか?

楽しいです。誰も死なないし、誰も血を流さないし…(笑)。やっぱり作品の雰囲気って現場にも影響するもので、重たいテーマのドラマのときは、自然と自分も暗くなってしまう瞬間がありますが、今回は、本当に明るくて穏やかな現場でした。ふざけ過ぎて「本当に大丈夫かな?」と不安になったとき、カメラマンさんに「ちゃんとやることはやっているから大丈夫」と言ってもらえて安心しました。


助演男優賞に選ばれた本田響矢さんとの共演はいかがでしたか?

本田さんの受賞はすごくうれしかったです!主演女優賞を頂いたと連絡があったとき、まず「他の方は?」って聞いて、瀧昌役の本田さん、芳森芙美子役の山本舞香さん、監督さんたちも選ばれたと知って大喜び。みんなで受賞できたことがうれしかったですね。

本田くんはとても真面目で一生懸命な人。ちょっとお茶目で抜けているところもあるんですけど、それがまたかわいくて、顔に出るタイプなので分かりやすい(笑)。「大丈夫?」って聞いたら悩んでいることを素直に相談してくれて、「一緒に作っている」という感じがすごくありました。そして、本田くんは本当に、なつ美のことが好きでしたね。なつ美のことが好き過ぎるんです(笑)。


読者にも、なつ美さんと瀧昌さまの“カップル推し”をしていた人が多かったです。

それがうれしかったですね。恋愛ドラマって、女性目線で感情移入することが多い気がするんですけど、この作品は2人を見守る感覚で見てくださった方が多かったようで、それがすごくうれしかったです。


そうした反響は撮影中にも感じていましたか?

スタジオの前室に見逃し配信数や「ランキング1位!!」という張り紙が日々増えていって、正直「な、何が起きているんだろう…?」と戸惑いました(笑)。私は同時期に舞台の稽古や本番があったので(PARCO劇場「先生の背中〜ある映画監督の幻影的回想録〜」)、外でいろんな人と会う機会が多かったんですけど、「『―めおと日和』を今週も楽しみにしてる」「生きがいです」って言ってくださる方が本当に多くて…。今の時代に「リアルタイムで見たいから急いで帰る」って言ってもらえるなんて、ぜいたくで幸せなことだと思います。

西香はち先生の原作漫画も、舞台の稽古場に持って行ったら、みんなが回し読みをして…(笑)。放送がある木曜だけじゃなく、水曜の稽古でも「明日楽しみだね」、金曜になったら「もう一回見た」と言ってくれる方も多く、熱量を感じました。


7月20日までは舞台に出ていたんですね。撮影との両立は大変だったのでは?

そうですね。舞台とドラマの同時進行というのは、1人では絶対に乗り越えられなかったと思います。「―めおと日和」の現場の皆さんが明るくて温かくて、ちょっと気持ちが落ち込んでいるときも「おかえり」って迎えてくれる空気に、ホッとしました。まるで“実家”みたいな現場でしたね。


ドラマの舞台となった昭和11年ごろは結婚する年齢も早かったということで、なつ美は芳根さん自身より年下の設定でしたが、演じる上で意識したことはありますか?

そうですね。ちょっと若作りしたかな?(笑) 年齢に合わせて前髪を増やしたり衣装やメークも調整したりしました。衣装さん
やメークさんの力が大きくて、シーンごとに細かく調整してくださったので、自然と気持ちがなつ美に切り替わりました。着物も普段はなかなか着ないので新鮮。身に着けるだけで気持ちが引き締まりました。


最終話では、結婚して1年たち、海軍将校の妻として夫の身を案じながらも成長していくなつ美が感動的でした。結末についてどう感じましたか?

長い航海に出た瀧昌さまも、思ったより早く帰ってきてくれましたし(笑)、私は理想的なエンディングだったと思います。2人がただ一緒に日常を過ごし、笑っているだけで幸せというのがすごく良くて、大満足でした。第1話では名前を呼ぶだけで10分かかっていた2人が、最終回でも変わらずあの感じのままなのが、うれしかったですね。


約90年前の夫婦の物語を演じ、芳根さん自身の結婚感は変わりましたか?

時代が違えば当たり前のことが当たり前ではなく、例えば夫婦で食卓を囲むとか、今の時代なら「小さな幸せ」と思えることがあの時代だと「大きな幸せ」になるんですね。なつ美は瀧昌さまというかけがえのない人がいたから強くなれたし、互いに思い合う2人を見ていると、結婚ってすてきだなとは思いました。本田くんが瀧昌さまを心から愛して演じてくれたのも大きくて、それが演技にもにじみ出ていたので、支えられた部分が大きかったです。


クランクアップのときは、本田さんとどんな言葉を交わしました?
 
本田くんが先に花束をもらいボロボロ泣いていて、「頑張ったね~」と思っていたら、その3分後には自分も号泣していました(笑)。マネジャーさんが私たちの様子を写真に撮っていたんですけど、そのとき照明の効果もあいまって、なんか“天に召される”ような感じで(笑)。私はドラマのクランクアップでは泣いてしまうんですが、今回は、現場が終わって寂しいというより、現場の温かさに泣けた涙でした。本当に、愛にあふれた現場でした。


最後に「波うららかに、めおと日和」のファンの皆さんへメッセージをお願いします。

「波うららかに、めおと日和」は、私にとって「ただいま」と帰りたくなるような作品でした。皆さんにたくさん愛していただけて本当に幸せでしたし、またこのチームで会える日を、心から願っています!

(取材・文=小田慶子)
波うららかに、めおと日和

波うららかに、めおと日和

芳根京子主演で、昭和初期を舞台に交際ゼロ日婚の新婚夫婦の甘酸っぱい時間を描く、ハートフル・ラブコメ。なつ美(芳根)は帝国海軍に所属する瀧昌(本田響矢)と婚約することに。しかし、結婚当日、一度も会ったことがない瀧昌は仕事のため現れない。夫不在の中、結婚生活が始まっていく。

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