第124回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演男優賞 受賞インタビュー

(C)フジテレビ

本田響矢

芳根京子さんの言葉で確信を持って演じられました

「波うららかに、めおと日和」の江端瀧昌役で助演男優賞を初受賞しました。ご感想をお願いします。

ありがとうございます。本当に、本当にうれしいです。僕がこの賞を頂けたのは、ドラマを見て応援してくださった皆さん、そしてキャスト・スタッフの皆さんが作品に注いだ“たくさんの愛”の結果だと思っています。僕も「波うららかに、めおと日和」というドラマを心から愛して演じました。


主演女優賞は江端なつ美役の芳根京子さん。「夫婦そろって」の受賞ですね。

本当に光栄ですね。芳根さんとは「なつ美と瀧昌」として2人で向き合うシーンが多く、役や作品についてたくさん話しました。そうして共に作り上げた時間の結果、こうしてダブル受賞できたのは、本当にうれしいです。


芳根さんは既に主演ドラマもたくさんありますが、どんなところに「すごさ」を感じましたか?

全部です。演技はもちろんですが、それだけではなく、芳根さんの主演としての現場での在り方、役との向き合い方、“一役者としての姿勢”の全てから学びました。細かいシーンの相談もたくさんさせていただきましたし、隣で“夫”としてずっと見ていたからこそ、直接教えていただいたこと以外にも、勝手ながら学ばせてもらえたことが本当に多かったです。


現場で芳根さんにどんな相談をしたのですか?

ドラマの前半で、瀧昌として“なつ美さん”と向き合っている時、自然と感情が湧いてきて、妻という存在の大切さに強く気付いた瞬間があったんです。でもそれが自分だけの思い込みなのか確信が持てなくて、芳根さんに「なつ美さんは瀧昌のことをどう思っていますか?好きになるきっかけはありましたか」と尋ねました。すると、「ここからという明確なきっかけではなく、一つ一つのシーンを積み重ねるうちに、夫婦として自然と距離が近づいていくのだと思う」と言ってくださって、「自分が感じたことは間違っていないんだ」と確信が持てました。


なつ美と瀧昌の結婚は親が決めたものですが、お互いの人柄にひかれ、男女として恋に落ちていく。その過程を自然な流れで演じたわけですね。

はい。どこかのポイントで急激に距離が縮まるのではなく、静かに、でも確かに、2人の夫婦としての形が色濃くなっていく。それを信じて演じられたのは、芳根さんの言葉があったからだと思います。


投票コメントでは「このドラマから本田響矢がブレークしたと語り継がれるであろうハマり役」との声も。演技面では「序盤から終盤にかけて表情が柔らかくなっていく変化が巧み」との指摘もありました。「軍服が似合う!」という声も多かったです。

「詰め襟」が似合うって言っていただけたのは意外でした。中高ともブレザーだったので、自分では似合わないと思っていたんです。「虎に翼」(2024年NHK総合ほか)に出演したときも学ランを着る場面がありましたが、今回、海軍の白い軍服を衣装合わせで着たときはすごくそわそわしました。自分で鏡を見るときに「昭和顔だな~」と思ったことはないですが(笑)、そう言っていただく機会が増えて、「そうなのかもしれない」と実感したところです(笑)。


昭和11(1936)年ごろの海軍将校を演じる上で、特に意識したことは?

まず“昭和に生きる感覚”ですね。その時代に国を守る海軍という立場は、令和を生きる僕にとっては身近ではない。だから資料や映像を見て自分の中に落とし込みました。茶碗の持ち方、あぐらの姿勢、一つ一つの所作…。特に前半は、瀧昌には父親が戦死したという過去があり、なつ美に心を許していない状態なので、硬さを保つことを意識していました。


瀧昌は女性への免疫がない不器用な青年。ご自身と重なる部分は?

僕にもそういう時期はありました。高校生の頃は、女性と気軽に話せなかったんです。例えば、放課後の廊下で誰もいない時に女性に話しかけられたら、ギリ話せる。でも、休み時間、友達と一緒にいる時に女性から声をかけられたら、もうその場を去りたくなる(笑)。誰かに見られている状態で女性と話すのが本当にダメで、顔が真っ赤になってしまって…。今もその“名残”は少しあります。そういう意味で、瀧昌の不器用さにはすごく共感できました。


本田さんは新しい作品に入る際、役柄の“履歴書”を作るそうですね。

そうです。でも、今回は書いていません。というのは、原作コミックと台本に瀧昌のバックボーンや好きな食べ物、これまでの生き方まで、かなり丁寧に描かれていたので、今回は「自分の想像でよけいに作らないほうがいい」と思いました。原作の瀧昌に忠実に、実写としてどう立体化するかを大切にしました。


瀧昌は海軍の将校で、いつ航海中に殉死してもおかしくない。妻とも明日には会えないかもしれないという状況をどう表現しようと考えましたか?

なかなか妻とも連絡が取れないし、令和の今よりずっと会える時間を大切にしなきゃいけないという意識をずっと持っていました。手紙一通に込める言葉の重み、届いた手紙を読む時の印象…。携帯でメッセージを受け取るのとは全然違うなと、芝居を通して実感しました。


そんなふうに物語の世界に入り込みやすい環境だったんですね。

そうですね。美術さんや小道具さんの力が大きかったです。例えば、2人で食べた食器が台所に置かれている。それが画面に映っているかどうか分からないけれど、現場に行くとそこにある。そういった日常の1コマを目にするたびに、なつ美さんへのいとおしさ、会える時間の尊さをより感じられました。縁側から見える季節の移ろい、服装、こたつ…。会えない時間の長さや、なつ美が1人で過ごした日々が、映像の端々から伝わるように整えてくれたスタッフの皆さんのおかげで、僕らも感情を乗せやすかった。心から感謝しています。


共演者で仲良くなった人はいますか?

やはり芳根さんが一番長く一緒にいましたが、次に共演シーンが多かったのは同じ海軍将校・深見役の小関裕太さん。本当に優しいお兄さんで、人見知りの僕にも初日から話しかけてくださって。舞台の仕事について相談したときも、質問1に対して、50も100も返してくれるくらい丁寧に向き合ってくださって、すごく救われました。また別の役で、もっと成長した自分でご一緒したいです。


ドラマ放送中に本田さんのInstagramのフォロワー数もかなり増え、「ここからブレーク」との声も届いています。今後にどうつなげますか?

このドラマで僕を知ってくださった方は本当に多いですし、現場では芝居以外の部分も含めて、自分がやるべきことを山ほど学びました。ここで得たものを糧に、変わらず一つ一つの役や作品に丁寧に向き合い、たくさんの愛を注いでいきたいです。


今後の俳優のキャリアにつながる“自信”もつきましたか?

今は音楽劇「エノケン」(2025年10月7日[火]より上演)という舞台の準備に入っていて、そうして次の作品に向き合い始めたとき、ふとこのドラマの現場の記憶が浮かぶことが多いんです。このドラマで経験したことが自信にもなっているんだなと…。まだこれから時間をかけて、じわじわと実感していく気がしています。

(取材・文=小田慶子)
波うららかに、めおと日和

波うららかに、めおと日和

芳根京子主演で、昭和初期を舞台に交際ゼロ日婚の新婚夫婦の甘酸っぱい時間を描く、ハートフル・ラブコメ。なつ美(芳根)は帝国海軍に所属する瀧昌(本田響矢)と婚約することに。しかし、結婚当日、一度も会ったことがない瀧昌は仕事のため現れない。夫不在の中、結婚生活が始まっていく。

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