ザテレビジョンがおくるドラマアカデミー賞は、国内の地上波連続ドラマを読者、審査員、TV記者の投票によって部門別にNo.1を決定する特集です。

最優秀作品賞から、主演・助演男女優賞、ドラマソング賞までさまざまな観点からドラマを表彰します。

第89回ザテレビジョンドラマアカデミー賞監督賞 受賞インタビュー

井上剛、川上剛、津田温子

満島ひかりの本気を見ました

作品の印象的なシーンの一つに、エンディングのミュージカル仕立ての演出があります。これはどのように作られたのでしょうか。
川上剛:昔の番組では、普通に途中で歌が入ることがあったんです。だから、斬新なようで実はオーソドックスなこと。テレビの黎明(れいめい)期には、ミュージカルドラマが1つのジャンルとしてあったんですよ。
井上剛:かつてあった生(放送の)ドラマは、歌の間にセット替えをしたり早着替えをしたりしなければいけなかった。だから、確実に歌のコーナーが入るんです。仕方なく生まれたことなんだろうけど、おおらかな感じで、それも許容されていた時代だったんですね。今見るとものすごくアバンギャルドに見えますよね。実際に、今それを視聴者に投げかけるとどうなるんだろうということで、企画の最初の段階からそのシーンを入れることは決まっていました。
生放送のドラマがあった時代、現代とは全く異なるテレビの形態があったと思いますが。当時のテレビの魅力は何だったと思いますか?
井上:人そのものが面白かったんじゃないですかね。テレビという新しい〝おもちゃ〟を与えられ、今より物や技術もなく正解もない中で、出る人も作る人もやっていた。その面白さがあるんだと思います。
それを今作に活かしたのでしょうか。
井上:そうですね。僕ら自身もそのような新鮮な気持ちに立ち返らないと面白いものは作れないと思いました。だいたい仕事ってルーティンじゃないですか。それはドラマを作る人たちもそうで、そのルーティンをちょっと変えたかったんですよね。
川上:最初、「トットてれび」はドラマじゃない、というのが合言葉だったんです。
津田温子:ドラマバラエティーみたいなことをやりたいと思っていたんですよね。
井上:撮影の3カ月間は、ルーティンじゃない形を意識して仕事をしようと思っていました。
そんな時代を描くにあたって、気を付けたことはありますか?
井上:ただの再現はしたくなかったんです。膨大な資料があって、忠実に再現するのは無理があるし、普通の再現ドラマでは視聴者から「昔話」と思われて飽きられる。現代の人が見てもポップに感じられるよう、現代の洋服を衣装で取り入れるなどして、工夫しています。向田邦子さんが亡くなった後のシーンで徹子さんが着ていた喪服はヨウジヤマモトですが、他にも既製服では難しい場面が多く、衣装はほとんど作りました。今見てもかわいい、かっこいいと思えるような洋服を用意したかったので。
主演の満島さんからは、演出に対する意見はあったんですか?
井上:いっぱいありました。1万個くらいあったかな?(笑)
津田:思い出せないくらいありましたね(笑)
井上:どういう番組にしていくのか、満島さんとも話し合いました。「しょんぼりしながら歩く」というシーンでは、普通のドラマだったら〝しょんぼり〟撮る。でも、このドラマはそうじゃないと、路上に音楽家を置いて、音楽が鳴ると自然に彼女が踊るとか。彼女からも「ここは踊りたいです」と言われましてね。普通のドラマでやらないことをこのドラマではやってもいいと、1つ1つ積み重ねていったんですよ。
津田:他にも「寝ころびたい」とか、衣装はこういう質感がいいとかいう意見もいただきました。
井上:第4話のエンディングで「ニューヨーク、ニューヨーク」を歌って踊ったのも、満島さんの提案でした。満島さんご自身に負荷が掛かることが山ほどあるのに。驚きます。
川上:本当にエネルギーの塊みたいな方でした。
第1話にはEGO-WRAPPIN'の中納良恵さんが出ていらっしゃいましたが、ゲストの方の起用も独特でしたね。
井上:EGO-WRAPPIN'の中納さんは大阪の方だし、大阪育ちの笠置(シヅ子)さんをやるって良くないですか。今回は音楽の力がすごく重要で、「買い物ブギー」も含めてあのころのすごくパワーのある音楽を、現代の人が現代の力でやるとどうなるのかなというのに興味があったんです。役者さんと一緒で、本物の人を呼びたかったんです。
現場の雰囲気はいかがでしたか?
井上:意外と笑いが多かったですよ。面白いものを作っているので、笑えるまでやり直す…というか。あんまりギスギスすることもなかったですよ。あ、でも局地的にはあったかな(笑)。
津田:結果的に、いつも最後は笑えてた気がします!

第89回ザテレビジョンドラマアカデミー賞受賞インタビュー一覧

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