ザテレビジョンがおくるドラマアカデミー賞は、国内の地上波連続ドラマを読者、審査員、TV記者の投票によって部門別にNo.1を決定する特集です。

最優秀作品賞から、主演・助演男女優賞、ドラマソング賞までさまざまな観点からドラマを表彰します。

第96回ザテレビジョンドラマアカデミー賞最優秀作品賞 受賞インタビュー

アンナチュラル

一番気を付けたのは“刑事ドラマにしない”ということでした(新井順子P)

「アンナチュラル」が、最優秀作品賞をはじめとする6部門を受賞しました。受賞された感想をお聞かせください。
聞いた時はビックリしました。作品賞は全てのスタッフ、キャストの力が一つになって受賞できるものだと思いますので、とてもうれしいです。 “視聴熱”ランキングでも9週連続で1位を取れたと聞いて、想像以上に盛り上がっているのが伝わってきました。最初は「法医学」という身近ではないジャンルが受け入れられるかどうか心配だったんですが、視聴者の皆さんにキャラクターの面白さやコミカルな世界観を楽しんでもらえていると感じました。サスペンス部分が面白いのは当然のことながら、キャラクターが魅力的で毎週会いたいと思えるドラマにしたいと思っていたので、キャラクターが愛されたのは嬉しかったです。
物語の舞台は架空のUDIラボという架空の組織でしたが、もっとも気をつけたことはどんなことでしょうか?
一番は刑事ドラマにしないということでした。つまり犯人を逮捕するのが目的のドラマではなく、死因を突き止めることで、残された遺族、いまを生きている人たちの現実が変わっていくドラマ。ですから、事件を扱いはしますが、刑事ドラマにならないように気をつけました。また、架空の組織にすればいろんなパターンが描ける。事件の入り口のアプローチの仕方を毎回変えて、展開がどんどん進んで行き、推理をしていただくというよりは「どうなるんだろう?」と思っていただきたかった。刑事ドラマだと犯人が動機を語るシーンもあるけど、法医学サスペンスなので、そうじゃないところを重視しようと。
また、キャラクターたちの柔らかい部分が親しみやすさと、見やすさを生み出していましたね。
個人的には社会派ミステリーというより、温かな愛の溢れる作品になったらいいなと思っていました。最初はキャストもスタッフもキャラクターを掴むのに探り探りでしたけど、いつの間にか空気感ができあがっていました。特にミコト(石原さとみ)、東海林(市川実日子)、六郎(窪田正孝)の3人は前室でも役の関係性そのままで、その空気が作品にも出ていた気がします。前室では東海林と六郎が盛り上がっていて、そこにミコトがツッコんで、それを遠巻きに見ている中堂さん(井浦新)と所長(松重豊)、みたいな感じでした(笑)。また、北村有起哉さん、大倉孝二さん、池田鉄洋さん、ずんの飯尾和樹さんなど名バイプレーヤーさんたちが集まっていたので、芝居で負けないぞという雰囲気もあってとても面白かったです。
ミコトと東海林には働く女性たちの思いが込められているように感じました。
脚本の野木さん、演出の塚原氏、そしてプロデューサーの私も女性でしたから、今までの自分の体験や、知り合いの体験談も打ち合わせで出たりして。例えば、ミコトと東海林が友達じゃないと話すエピソードがありましたが、これは私と知り合いの関係なんです。仕事終わりによく飲みには行くけど、旅行には行かない。同僚であって、友達というにはちょっと気恥ずかしい関係性(笑)。なので、働いている女性は共感しやすかったかもしれないですね。あと、東海林が「うちら独身で子供いなくて、この先両親が死んじゃったら、遺骨、どうなんの?」というセリフも印象的でした。切実だなと(笑)。しかもそのセリフを、市川さんが絶妙な言い回しで表現してくれたんです。最高でした。
役者さんたちもそういった掛け合い、セリフの応酬を楽しんでいるように見えました。
そうなんです。それと坂本役のずんの飯尾さんは、アドリブじゃないんですけど、全てがアドリブに聞こえるんです。飯尾さんが台詞をしゃべるとリハーサルにならないくらい笑ってしまって、リハーサルが進まない(笑)。
新井さんがお好きなシーンや印象的なシーンはどこでしょうか。
最終話で六郎がUDIに戻ってきたときは、良かったなと思いました。六郎は第1話で「法医学より生きている人を治す臨床医の方がいい」と言っていたのに、「法医学やりたいです!」と言って戻ってくる。それを聞いていたみんなが受け入れ笑うというシーン。一度は追い出される形でUDIを去った六郎が、再び勇気を振り絞ってラボにやってくるので、「良かったね」と純粋に思えました。


取材・文=及川静

第96回ザテレビジョンドラマアカデミー賞受賞インタビュー一覧

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