おねえ系ライター・よしひろまさみちが選ぶ!
昭和&平成、時代別忘れちゃダメな日本映画3選

よしひろまさみち(映画ライター)

よしひろ・まさみち●1972年10月21日生まれ、東京都出身。映画ライター、編集者。宝島社「sweet」「otona MUSE」カルチャーページ編集・執筆、女性誌、情報誌などで連載多数。日本テレビ系「スッキリ!!」で月一映画紹介を担当のほか、テレビ、ラジオ、Webでの映画紹介も。

昭和「吉原炎上」

©東映

昭和だから許されたドロドロな表現がてんこ盛り!

  Paraviではテレビ番組見逃し視聴以外にも、徐々に映画コンテンツが増えているのよね。せっかく元号も変わるタイミングですし、Paraviで観られる昭和・平成前・後期の忘れちゃダメな日本映画を選びました~。
  まずは昭和。平成生まれの人は、よほどの話題作でない限り観ていないと思うので、ザ・昭和な一作を。それが「吉原炎上」。テレビで何度かドラマ化されているからタイトルくらいは聞き覚えあると思うけど、そもそもはこの東映の87年版が原点。舞台は明治時代の吉原遊郭の時代モノだけど、80年代じゃなかったらできなかった表現がてんこ盛りなの。だって、乳首丸見えは当たり前で、名取裕子さんと二宮さと子さんの女性同士の妖艶な濡れ場やら、避妊してないから妊娠してしまうこともざらってことで鬼灯を使って堕胎するとか。公開当時も「よい子は観ちゃだめ」と言われた問題作。だけど、好奇心旺盛なよい子ほど観てるのよ~。今でいうところの「過激な描写」があったおかげで、吉原の女性達の苦悩がグサグサ心に刺さって、「こんな苦しい思いをさせる世の中はあかん!」って思えるようになるんだから。
  特に最強と言われる名シーンは、西川峰子さん(現・仁支川峰子)の布団部屋のシーンね。結核で仕事から退いたことで、トップの座を奪われた嫉妬に狂い、血を吐きながら半狂乱。髪を振り乱しながら「ここ、噛んで~!」と絶叫する峰子先生は、今でも2丁目ゲイの間では神格化されております(実話)。美醜、業の深さ、マウンティングなどなど、平成の映画でもテーマにされたことですが、この映画が一番生々しくてまがまがしいわよ。

          
            

平成前中期「クローズZERO」

©2007髙橋ヒロシ/「クローズZERO」製作委員会

小栗旬、山田孝之を"イケメン役"から解放した平成前中期の傑作!

  平成前中期はバブル崩壊やら就職氷河期の始まりだったり、世相が不安定化していった時代。ほんといろいろあったわよね~……、平成前期から中期にさしかかるあたり。そのころのある映画を機に、今ではライフスタイルの一つとなったガチなヤンキーがルーツじゃない、ふんわり系のマイルドヤンキー文化がブレイクするのよね。それが「クローズZERO」。これまた今では三十路の人気俳優に育った小栗旬や山田孝之などなどがズラリと出演した名作ね。
  当時彼らは20代半ばで、学園ものやら難病ものやらで演じていたいわゆる「イケメン役」に飽き飽きしていたところ、この作品ではっちゃけたの。ぶっちゃけ彼らのキャリアの中でも、この作品がなかったら今の彼らはないっていえる作品。
  それと同時に、このチョイ悪さがかっこよく映ったのもこの時代の特徴。だって、なんだかイイ子イイ子してないと、人生のレールから外れる、ヤバイ!って固定観念があったところ、「あ、これもスタイルとしてはアリじゃね?」って思わせてくれたんだもの。このスタイルが流行ったルーツを観ちゃいなYO。

          
            

平成後期「湯を沸かすほどの熱い愛」

©2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会

誰もが"よりどころ"を求めた平成後期の名作

  平成後期、忘れられないのは震災や天災。自然の脅威にさらされたとき、人間がいかにちっぽけな存在かを知ることになったわけだけど、それと同時に、その不安からか「帰属意識」が芽生えたのよね。その最小単位が「家族」。以前よりも連帯や絆ってのが強調されるようになって、家族を大事にすることがことさら声高に語られるようになった時代だったわね~(遠い目)。
  で、そんな平成後期の傑作といえば「湯を沸かすほどの熱い愛」。以前だったら、ちょっと物語がウェット過ぎるって言われただろうし、ほぼ聖母のような宮沢りえさんが完璧過ぎる、と言われたでしょう。
  でも、このタイミングだったからこそ傑作としてヒットしたし、家族っていう「よりどころ」を改めて見つめ直すには最高の作品。おそらく、令和になってもこの価値観はしばらく変わらないだろうし、むしろこの作品のような家族のカタチは多様性としてこれからは受け入れるべきだから、何度でも見直してみて。

          
            
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