作品賞は「MIU404」 新井順子P『第8話のラストはPと脚本家のせめぎあいが…(笑)』<ドラマアカデミー賞・インタビュー前編>
士気を上げようと、編集した映像をキャストやスタッフに
――コロナがストーリーにも影響したわけですね。新井さん自身は、緊急事態宣言が出て撮影中断してからはいかがでしたか?
「もしかしたら放送延期や中止になるのかも」という不安はありました。ただ、撮影はなくてもやるべきことはあり、鬱々とはならなかったですね。台本の打ち合わせはリモートでも続けていたので、野木さんと「全何話になるのか分からないけれど、とにかく突き進もう」と話しました。
撮影は第2話まで済んでいて、塚原監督が「士気を下げないために1、2話を編集したい」と言うので、編集室のドアを全開にして作業しました。そうやって編集した映像をキャストやスタッフに届けて、モチベーションをつなげてもらえたらと思いましたね。
綾野さんや星野さんは撮影以外では絶対に家から出ないぐらいの気構えでした。やはり一番不幸なのは、作品が世に出ないことですから。だから、撮影を再開した日は、みなさん「楽しい」って言っていましたね。撮影できることが楽しいし、現場でみんなに会えることがうれしい、と。
――撮影再開後も、感染対策は相当大変だったのではないでしょうか。
感染対策のガイドラインに従い、ロケセットではキャストの皆さんに「全身、着替えてください」とお願いし、「厳しい!」と言われながらもそうしました。お弁当を食べているときも「しゃべってはいけません」ということで、みんな無言で食べるんです。その光景はすごいシュールでしたね。もちろん、私もしゃべらず、1日の撮影が終わっても飲みにも行かず…。最終回なんて放送の4日前まで撮っていて。過酷な撮影でしたが、皆さん最後まで頑張ってくださいました。
(取材・文=小田慶子)
(後編へ続く)