――バカリズムさんとは初共演でもありますが、お芝居での印象はいかがでしたか?
自分とは積んでいるエンジンが全然違うから、その違いをすごく楽しめました。トークやコントを見ていて分かると思うんですけど、バカリズムさんはかなり頭の回転が速い。自分の中に流れている時間が早い方なんです。でも、僕は結構マイペース。だから、そのやり取りのリズム感が癖になるというか。何とも言えない違和感が心地よかったです。
自分が淡々とセリフを投げても、バカリズムさんが被せるようにセリフを返してきたりするんです。それが役の個性にそのまま出ていて。合っているのか、合っていないのか分からないふたりみたいな。その絶妙なリズム感が作品にずーっと流れているので、何かおかしいぞ、面白いぞ、になっている感じがします。
――現場で印象に残っているエピソードはありますか?
バカリズムさんとご一緒して、何が一番新鮮だったかというと、脚本家が常に現場にいること。普通なら台本を読んで自分の中で解釈したあと、現場で監督や共演者と作り上げていくんですけど、今回は現場に答えを持っている脚本家が目の前にいる。だから正直、少し怖かったです。
でも、逆に考えると何でも聞けるということなので、セリフの間とか、出し方とか、書いたときのニュアンスと違っていないかなとか思ったときはすぐに相談。バカリズムさんも「その間だと面白いこと言うぞ感が出ちゃうので、パパっと言った方がセリフが活きますよ」とか、すぐに反応してくださるし、テクニカルなことを教えていただけたのがすごく刺激的でした。
――確かに、現場に脚本家がずっといるというのはあまりないことですね。
しかも、お芝居の最前線にいますから。脚本家であり、共演者、パートナーという存在がすぐ近くにいる状況でのお芝居は初めての経験。しかも、ほぼ二人芝居、会話劇で進んでいくので、とても新鮮でした。
――最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
バカリズムさんの独特な世界観の中で、多いに楽しませてもらいました。復讐劇というと、とてもシリアスでハードボイルドなのかなと思うかもしれませんが、これは新感覚サスペンスコメディー。復讐劇というテーマと、僕らの会話の絶妙なズレを楽しんでもらえたと思います。
取材・文=吉田光枝
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