「殺意の道程」バカリズム&井浦新インタビュー(後編) 井浦新「自粛期間中は『普通のおじさんになろう』というくらい、芝居のことを忘れていました」

2020/11/07 06:00 配信

ドラマ

「こんなチャンスないんだから、一回芝居のことを忘れようと思った」(井浦新)

――今回の「殺意の道程」でのお芝居は、そうした自粛期間中に溜め込んでいた思いをぶつけることができたということもあったのでしょうか。

井浦:そうなんです。実は僕、「こんなチャンスないんだから、一回芝居のことを忘れよう」と思ったんです。今までは、直前に撮影していた作品があって、そこで得た“栄養”を力に全く違うものになっていく、みたいな形でやっていて。

もちろん前の作品でやってきたことをそのまま次の作品に出すというわけではないですが、気持ち的な部分ではやっぱり連なっているということに、この期間を通して自分自身でも気づいたんです。

でも「どうせ2カ月間芝居やらないんだったら、今まで培ってきたものとか芝居の感覚とか全部忘れよう」と思って。本当に「普通のおじさんになろう」というくらいの勢いだったんですが、そこからこの作品に挑んだので、最初はすごく緊張しました。

「せりふを覚えていってるのに、現場で全く出てこないようになっていたらどうしよう」とか、正直言ってそれくらいの不安もあったんです。デビュー作かというくらいの緊張感がありました。

「普通のおじさん」状態を経て、芝居の現場に戻ってきたという井浦新カメラマン=中川容邦/スタイリスト=上野健太郎/ヘアメイク=山口朋子


サスペンスコメディーのフリをした「おじさんたちの青春ドラマ」!?

――最後に、今回のドラマの見どころを交えて、視聴者の皆さんにメッセージをお願いします!

バカリズム:今回の見どころは、一応コメディーではあるんですけど、とは言っても一馬と満の向かうところは「復讐のための人殺し」なので。もともとの出発点も父親の死というすごく悲しい出来事から始まっていて、ゴールが人殺しなので、それがどういう風に展開していくのかにも注目していただけたらと思います。

井浦:復讐劇かつコメディーでありながらも、これは物語を通して体感したことでもあるんですが、おじさんたちの「青春ドラマ」でもあるなってちょっと思ったんです。

パッとしない二人の男が、「復讐」を胸に殺人へと向かっていきながらも、どこか「再生」されていくというか。実際バカリズムさんは車中劇のシーンを脚本に盛り込んでくださっていたんですが、それによって男二人のロードムービーみたいな形でも見えると思うんです。

「サスペンスコメディー」という形で宣伝されていると思うんですが、そこからの広がりがこのドラマの中にはたくさんあると思います。登場人物もすごく少なくて、「どこに広がるんだ」って思われるでしょうが、ものすごい広がり方をしていきますので、ぜひ楽しみながら見ていただきたいなと思います。


WOWOWオリジナルドラマ「殺意の道程
11月9日(月)深夜0:00スタート(全7話) ※第1話無料放送
第1話本編とビジュアルコメンタリーを、番組公式サイト・WOWOW公式YouTubeにて無料配信中

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