歌詞を書く時の心構えは「とにかく『100%自分である』」
――森田さんの、ある種実験的なところもある音作りと、熊木さんの日本語が美しく溶け合っています。曲作りは、まず歌詞からと伺いましたが。
真っ白なノートに自分が感じていることを書いていく、それは今も変わらずそうです。「歌詞が先」と言うこともできるんですけど、書いているとメロディーが浮かんでくるので、もうその段階で心の中では歌っているんです。
歌詞を書く時の心構えは、とにかく「100%自分である」ということ。自分をしっかり投入する。
その「自分」を楽曲にどれだけいっぱい出せたかによって、満足度が変わります。いかに自分を投影できたか、自分に向かい合うことができたか。それといつも闘っていますね。自分の中を探し続けて、自分の思いを追って…。
――自分とひたすら向かい合い、じっと見つめて脂汗を流すような…。
もちろん、おなかが空いた時には一休みしますよ(笑)。体力面は問題ないんですけど、精神的な面に関しては息切れするときもあって、最近はより短い期間でガッと書く方向になってきていますね。子どももいるので、(創作する)時間も限られていますし。
――誕生によって作風は変わりましたか?
子どもについてのニュ-スがとっても気になってくるとか、そういうことはありますけど、それは私を構成する一つの部分で、全部ではないので。自分の引き出しが一つ増えたという感じです。
――そうした「自分と向かい合う」熊木さんが、数多くの企業タイアップ曲(計46曲)に関わっていらっしゃるというのも、興味深いことです。
「こういう感じでお願いします」といわれることも、私にとって刺激になっているんですよ。打ち合わせの段階から、すぐ家に帰りたくなるんです。アイデアが湧いてきて、早々に曲を作りたい気持ちになる(笑)。
――アルバム4曲目「星天の約束」は、鹿児島の喜界島がモチーフ。桑名正博さん(2012年死去)と共演なさったことのある場所であるとうかがいました。
桑名さんについてはあんまり話したことがないかもしれませんね。でもすごく心の中に残っていて、曲作りをしているうちに、ふと思い出して。
桑名さんは私の「戦いの矛盾」(2006年リリース)をすごく気に入ってくださって、私の中に強い「ロック的なもの」を見ていたみたいです。
「熊木はその感じで行け」って励ましてくださって。桑名さんとは一緒にライブでも歌って…泥臭くて、人間臭い感じがすごく好きでした。
それは自分にないものだと思っていたから、ちょっと悔しい気持ちもあったんですが…武田鉄矢さんにお会いした時もそうだったんですけど、要するに当時の私はすごく尖っていた時期だったんですよ(笑)。
――武田さんと初めてコラボレーションなさったのは2005年ですね。
「私をたどる物語」という武田さんの詞に曲を付ける、というお話を頂きました。この時も、「絶対に良いって言ってもらうぞ」という気負いがすごくありましたね。武田さんからパワーを引き出してもらったかというか、「ちくしょー、私はこんなもんじゃないぞ」って自分を奮い立たせながら書きました。
小田和正さんとは、最近お知り合いになったんですが、私も当時よりはすごく冷静に自分のことが見えるし…。「今の熊木の声に合った曲は絶対にあるはずだから、それを作っていくことが、シンガーソングライターなんじゃないか」というようなお話をしました。
――シンガーソングライターの方は作詞、作曲、歌唱を全部一人でする。三人分の活躍ですね。
シンガーソングライターには、「一人でやっている」ときと「一人じゃないんだと思うとき」の両方あるような気がします。いろんな方に支えられている部分が本当に多いけれど、曲を書くことに関しては完全に一人の作業。風が吹きすさんでいる中を、孤独に歩んでいく感じです。
「とにかく名作を作りたい、自分の中の最高の1曲を作りたい」という意識をもって、今も自分の心と体重が乗る曲を目指して歩いている。楽しいですよ。
11月11日(水)発売
<初回限定盤>
価格:4800円(税抜)
<通常盤>
定価:2727円(税抜)
【公式HP】https://www.kumakianri.jp/





























