渡辺謙「ギリギリのところまで演じました」超高度なアクションに挑む<逃亡者>
「原動力はとても単純で、面白いかどうか」(渡辺)
加倉井の行動は「妻に対しての思いや、全てを正すために真犯人を見つけること」が原動力になっている。では、渡辺が作品に向かう際の原動力はどんなものなのだろうか?
「とても単純で、面白いかどうかです。文学的な作品であっても、エンターテインメント作品であっても、そこに自分の針が触れるか触れないか。その針が示す面白さのポイントは、作品によって違いますけどね。今回の『逃亡者』の場合は、全体のストーリーテリングの面白さでした。映画だと大体2時間ぐらいで描かれますが、今回のドラマは前後編で3時間強あるので、結構な厚みを持って描けるんですね。
しかも、映画だと一つの大きな流れで見せますが、このドラマの場合は前後編で色合いを変えることもできる。前編は講談じゃないですけど『さぁ、どうなる! どうなる!』という感じで終わるので(笑)、2夜連続のドラマならではの盛り上がり方を作ることもできたと思います」
とはいえ、山中を走り回るなどの逃亡劇の撮影は、大変だったという。
「基本的にアクションは自分でやれるようにしたいと準備をしましたが、安全第一でスタントチームの協力を得てギリギリのところまで演じました。老体に…というのは悔しいので、むち打って頑張りましたよ(笑)。非常にスリリングな展開の中で結末を迎えるので、2夜連続で楽しんでいただけるのではないかと思います」
取材・文=及川静