11月29日、国内で一番早い映画賞として注目されている「第12回TAMA映画賞」の授賞式が東京・府中の森芸術劇場 どりーむホールで開催された。
この「TAMA映画賞」は、多摩市及び近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる〈いきのいい〉作品・監督・俳優」を映画ファンの立場から感謝の気持ちを込めて表彰するアワード。
今回は2019年10月~2020年9月に劇場公開された作品が対象となっている。
「最優秀作品賞」に選ばれたのは2作品。一つは、2020年4月に亡くなった大林宣彦監督の最後の作品となった「海辺の映画館―キネマの玉手箱―」。
プロデューサーの大林恭子と奥山和由、キャストの常盤貴子、厚木拓郎、細山田隆人、細田善彦、吉田玲が登壇した。
大林プロデューサーが「生涯、映画と共に生きた監督です。今日はご褒美を頂いたように思います。最後の作品で皆さまに会えて、最優秀作品賞を頂けて、監督もすごく喜んでいると思います」とあいさつ。
「毎日、夢は映画みたいだったみたいで、私に会うと『今日は何時からスタジオ入りなの?』とか、まだやりたいことがいっぱいあるんだよ、まだ終わってないと言ってました」と話し、「黒澤明監督が(大林監督を)すごくかわいがってくださって、『大林くん、世界が平和になるまで400年は掛かると思うよ。大林くん、僕の続きをやってね』」と黒澤明監督から託されたエピソードを披露。
その大林監督は、岩井俊二監督、塚本晋也監督、犬童一心監督、手塚眞監督に未来を託していたという。
常盤は「大林監督との思い出で、こういう場面でいつも監督は段取りを無視することがありました。それをたくさん経験させていただている大林チルドレンとしては段取りを無視させていただきます。コロナの影響で舞台あいさつができずにいました。東京国際映画祭はありましたけど、それ以外では一度もこうしてそろってごあいさつができなかったんですね。でも、この4名は監督の分身となって頑張って撮影を続けてくれました。
そのおかげでこの映画は自由に飛び回れたと思うんです。私からのお願いであり、監督もきっとそう言ってくださると思って、皆さんにお願いがあります。この4名に大きな拍手を頂けないでしょうか?」と、厚木、細山田、細田、吉田をたたえ、その気持ちに応えて会場からは大きく温かい拍手が起こった。
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