吉野朔実さん原作、石井杏奈主演映画『記憶の技法』公開「今、演じたら、またぜんぜん違う感じ方があるんだろうな」
石井杏奈主演映画「記憶の技法」が11月27日に公開され、石井、柄本時生、戸田菜穂、池田千尋監督が、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷にて、初日の舞台あいさつを行った。
本作品は、漫画家の吉野朔実さんの著作では初の実写映画化となる、記憶をめぐるミステリー映画だ。以下、登壇者のコメントを紹介する。
石井杏奈
この役柄を演じたときは、19歳でした。主人公の華蓮の抱えているもの、経験したことが、自分の頭のなかがいっぱいいっぱいになってしまって。19歳ながらに、自分のことと重ねて演じていましたが、今、演じたら、またぜんぜん違う感じ方があるんだろうなと思います。
(忘れられない記憶というと、)今回、演じるにあたって、家族のことを考えたのですが、5～6歳の時の母の誕生日に、母がお風呂に入っているあいだに、父と兄弟みなで、机に緑のテープで「おめでとう」って書いて、ろうそくを立てて、真っ暗にして待っているサプライズをしたんです。
それを見た時の母の驚きや喜び、準備している時のワクワク感、子供ながら、たくさんの感情が芽生えて、サプライズが好きになりました。私のサプライズ好きの発端です。最近では、去年の母の誕生日に、ケーキを持って、急に帰ったりしましたね。
柄本時生
僕は、主人公が旅先で出会うキーパーソンを演じたのですが(笑)、撮影当時は、まだ10代の石井さんとの共演シーンでは、石井さんは発するセリフの生々しさをすごく感じて、感動しました。こういう体験はあまりなくて、とても勉強になりましたね。撮影現場でのおしゃべりも、楽しかった記憶しかありません。福岡で水炊きを一緒に食べましたね(笑)。
戸田菜穂
つらい思いをしたことがあるからこそのやさしさがある、全身で娘を守っていこう、という母親を演じたのですが 、娘役の杏奈ちゃんを見ていて、愛おしいと思いましたし、本当に可憐で、かわいらしくてピュアで、ずっと見ていたい感じだったので、私も自然に役を演じさせていただきました。
(忘れられない記憶というと、)私は来年で芸能生活30周年を迎えるのですが、1990年にホリプロスカウトキャラバンのグランプリをいただいた時、グランプリを発表する直前に、審査員のひとりだった千葉真一さんが、私のところにいらっしゃって「いつか共演しましょうね」とおっしゃってくださったんです。
その時に「えっ、もしかして」と思ったのを最近よく思い出して。それ以来、まだ共演させていただいてないのですが(笑)、それが芸能界に入った、いちばん最初の思い出です。
池田千尋監督
この映画は撮影から3年弱を経て、この状況下でふつうに劇場公開することがむづかしいなか、無事に初日を迎えることができて、とてもうれしく思います。
撮影時は19歳だった石井杏奈さんが、生々しく、役に向き合ってくれたことに、とても感謝しています。本当に生の人間として、その場に立って、役を生きてくれました。
オリジナルで映画を作ることが多かった私が、吉野朔実さんの原作に出会い、初めてこの漫画を映像にしたい、生の人間をとおして見てみたい、と思った作品です。この映画の主人公のように、映画をご覧いただいたみなさまにも、自分の“記憶”と向き合うことで、過去ではなく、今の自分自身を見つめなおす、そんなきっかけになればと思います。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
11月27日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国公開中
出演：石井杏奈 栗原吾郎 柄本時生
西本まりん 木下彩音 後藤由依良 佐藤結良
二階堂智 小市慢太郎 戸田菜穂
原作：吉野朔実「記憶の技法」(小学館)
監督：池田千尋
(C)吉野朔実・小学館 ／ 2020「記憶の技法」製作委員会
公式サイト：https://www.kiokunogihou.com/
