そして、そのニューヨークでの会議の中で、歴史を伝える番組が世界で求められているという事実も知りました。現在、世界では歴史番組に触れる機会があまりなくなっていて、それが社会的に問題になっています。歴史を伝えるために新しい演出手法が求められているということで、歴史とスマホを合わせた番組の企画として、本能寺の変をテーマに描いた「信長のスマホ」という内容の15分のドラマを考えました。
ですが、先ほど述べたドラマは、背景や機材などにとても苦労されたそうで、制作するのに膨大な資金と時間がかかったということをベルギーの制作チームから聞きました。15分のドラマを作るだけなのに、これだけ膨大なお金と時間がかかるのは、少し割りに合わないのではないかと一度流れてしまったんです。
そんな中で、2019年に大河ドラマ「麒麟がくる」のクランクインのニュースを聞きました。その時に、大河ドラマの背景を生かすことができれば経費も削減できるし、スマホとカメラさえ用意できれば、制作できるかもしれない、「あれ…?これは光秀で書いたら実現するのでは?」と思い、思い切って「光秀のスマホ」の企画を提出したんです。そうしたら実現しました。
――ということは、たまたま企画を考えたときに大河ドラマが戦国時代を描いたもので、実現に至ったということなのでしょうか。
そうですね、数々の偶然が重なって…。他の大河ドラマだったら実現は難しかったかもしれませんね。この企画の根底に「誰もが知っている歴史」や「偉人」でなければならないということがあるので。本能寺の変は、だいたいの人が知っている歴史上の大きな事件で、それをスマホで表現するからこそのおもしろみがあるのではないかと思います。このちょうど良いタイミングで明智光秀を主人公とした大河ドラマが放送されていて、本当によかったです。
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