アニメ映画「ジョゼと虎と魚たち」中川大志、声の仕事を通じて「自分の声をちょっと好きになれた」

青春恋愛小説の金字塔ともいえる田辺聖子の代表作「ジョゼと虎と魚たち」が、アニメーション映画となって、12月25日(金)のクリスマスに公開。夢のためにアルバイトに勤しむ大学生の恒夫と、絵と本と想像の中で自分の世界を生きる車いすのジョゼが出会い、心を通わせていく青春ラブストーリー。そんな恒夫の声を務める中川大志に、今作のみどころ、ジョゼの声を務める清原果耶との収録時のエピソード、そして役者として臨む声優の仕事への思いなどを聞いた。

――まずはご自身が演じた恒夫について感じたことを教えてください。

今まで声のお仕事を何度かやらせていただいた中で、この恒夫という男の子が自分に近いというか、すごく等身大だなと感じました。これまではキャラクター作品や洋画の吹き替えがほとんどだったんですけど、この作品の中ではナチュラルに、今までとは違う、作り込まない声の芝居ができるのかなと思って。そこは、今回「チャレンジしたいな」と思う一つのきっかけでした。

――等身大の人物を演じることで感じたことは、どんな点ですか？

ナチュラルなものを本当にナチュラルにただやればいいかといったらそうではなくて、そこが一番難しいところでした。アニメーション作品なので、自然な芝居をただナチュラルにやっても、やっぱり成立しないんです。ただ監督が求めてるところは、生っぽさとデフォルメしたアニメーションっぽい表現の両方。そのどちらも出てくる映画なんです。

僕はアニメーションの声優の経験が多いわけではありませんが、作画によってお芝居が変わるところがあるんですよね。例えば、キャラクターを演じると自然と声質が変わることもあるんです。でも、今回は等身大でナチュラルな部分も必要。本業が声優ではなく役者である僕やジョゼ役の清原(果耶)さんにオファーをいただいたのは、そこをしっかり表現したいというのがひとつの理由でもあるのかなと思っていて。ただ、意外とその塩梅が難しかったですね。抜きすぎてもダメだし、作り込みすぎても入り込めない。バランスをとるのが難しい作業でした。