<おちょやん>杉咲花が“名女優”を演じるにふさわしい理由 熱意も空回りも自在な演技力に感服
無念の初舞台中止を乗り越えて
抜群の演技力の杉咲だが、浪花千栄子さんのような舞台経験はない。本来なら、「おちょやん」がクランクインする前、2020年4月に、古典的名作、チェーホフの「桜の園」で初舞台を踏む予定だったが、コロナ禍によって中止になってしまった。大竹しのぶ、宮沢りえ、黒木華という舞台経験の豊富な女優たちとの共演と、演劇界の鬼才であるケラリーノ・サンドロヴィッチの演出を受けることで、女優・千代を演じる学びにもなったはずで残念でならない。だが、稽古は行っていたので、先輩たちに多くを学んだはず。それが「おちょやん」にきっと生きていると思う、今後、千代が女優として活躍していくときの説得力として。
千代が入団した劇団の座長・山村千鳥役は若村麻由美で、彼女も仲代達矢の主宰する劇団・無名塾出身で舞台経験が豊富な女優である。杉咲とはドラマ「ハケン占い師アタル」(2019年、テレビ朝日系)では母子役で共演している。この母子にはかなりディープな関係性とドラマがあったので、「おちょやん」でも千代と千鳥のやりとりに注目したい。