北村有起哉、“座長”綾野剛は「絶対にブレないというか…集中力が本当にすごい」<『ヤクザと家族』連載(3)>

2021/01/26 08:00 配信

映画 インタビュー 連載

北村有起哉撮影:永田正雄

――北村さんにとって“The Family=家族”と聞いて真っ先に思い浮かぶことは何ですか?

6歳の息子をスイミング教室に通わせているんです。先日、いつものように更衣室で着替えさせていたら上級生の子たちがドカドカ入って来て、そのうちの何人かが靴を脱ぎ散らかしていたんですよ。

そんな光景を見た僕は注意したんです。ちゃんとルールを守りなさいと。まぁ、子どもたちからしてみたら、「知らないオヤジが何か言っているぞ」って感じなんだと思うんですけど(笑)。

別に息子の前だからカッコつけたいとか、いいところを見せたいとかではなくて日頃から子どもに言ってきたことというか、そういう接し方をしてきたから知らない子どもに対しても同じように注意しちゃったんでしょうね。

それはおそらく家族という存在がいるからこそなのかなって思いました。

それと同時にこれは僕の勝手な被害妄想なんですけど、注意されたことをよく思っていない子どもが、僕の知らないところで息子に意地悪をするんじゃないかなんてことも考えたりするんですよ。

アメリカの映画でも、正義のヒーローを苦しめるために悪い奴らが主人公の家族を誘拐したりするじゃないですか。何かそんな悪い想像をしていたら急にドキドキしたりして(笑)。

自分の勝手な言動によって息子に飛び火する可能性もあるかもしれないんだなと。自分1人でやりたい放題できない。そういうところも含めて家族なんだろうなと感じましたね。

「みんな親分のことが好きだったんでしょうね」


――劇中でも舘さん扮(ふん)する柴咲を親分とする「柴咲組」には“家族”のようなつながりがありましたよね。

それほど大きな組ではないし、組長ご自身がギラギラした感じじゃない。何か全体的に優しいんですよね。組長の優しさが原因で大変だったところもあったのかもしれないけど、みんながその人柄にほれ込んでいたことは間違いなかった。

優し過ぎたが故に時代に乗り遅れてしまったところがありましたけど、親分を見限ったり裏切ったりした組員は誰もいない。それだけ、みんな親分のことが好きだったんでしょうね。

――最後に2021年の干支は「丑」ということで…、最近「ウッシッシ」と思わず笑ってしまうぐらいうれしかったことはありましたか?

この前、息子の下の歯が初めて抜けたんですよ。それだけでもう「ウッシッシ」なんですけど(笑)、もう一つ面白いことがあって。

息子は相撲が好きでお気に入りの関取もたくさんいるので「今、好きなお相撲さんは誰?」って聞いたら「琴勇輝」って答えたんですよ。その時に口が横に開くから歯が抜けたところもバッチリ見えてめちゃめちゃ面白かったんです。

その顔が見たいから「そういえば、好きなお相撲さんって誰だったっけ?」って、ちょっと間を置きながら何度も聞いちゃう(笑)。そのたびに「琴勇輝」って口を横に開いて答えるからおかしくてたまらない。

「ウッシッシ」というより「ゲラゲラ」エピソードですね(笑)。


◆取材・文=月山武桜
◆スタイリスト:冨田しおり/ヘアメーク:酒井啓介(MARVEE)