――翼を演じていく上で、藤井監督からはどんなアドバイスがありましたか?
藤井監督は俳優のお芝居を否定することがなくて、すごく俳優に寄り添ってくれる監督でした。俳優が一度お芝居をして、それに対して否定することはしないんです。
同じシーンを何テイクもするんですけど、そうすることによって、自分の中で翼がどんどんシンクロしていくのが感じられました。なので、演じることによって自分自身の中で翼がジワジワと見えてくるのが面白かったですね。
――今作では、家族、仲間…といろんな家族の形が描かれていましたが、中でも印象的な関係や、全体を通して印象に残っているシーンはありますか?
僕が演じた翼はヤクザではないし、ケン兄とは血のつながりもないけど、兄弟みたいな関係が描かれていて、そこはすごく温かいシーンになっていたんじゃないかと思います。
僕自身、綾野さんのことを兄貴として見ていた部分があるので、それがそのまま役とリンクしたというふうにも感じられましたね。
――磯村さんにとって“The Family=家族”と聞いて真っ先に浮かぶものは?
僕にとって“家族”というと、やっぱり自分の血のつながった家族なんですよね。でも、この映画を見て、家族って一言でいうのが難しいと思いました。
何をもって家族というのか、血がつながっているから家族だとは、言えなくなっちゃったんですよね。
血のつながりがなくとも家族という言葉が使えると思ったので。今何しているんだろうとか、今はこう考えているのかなとか、離れていても感じ合える、思い合えるというか…そういう関係性が家族ということのような気がします。
――家族というものへの意識が変わったということですか?
この作品を経て、変わりましたね。ヤクザならではのしきたりみたいなものはあるとは思うんですけど、血がつながってなくても心の絆を感じることによって“家族”というものにつながっていくのかなって、いろいろ僕なりに考えることがありました。
――では最後に、2021年の干支が「丑」ということで…、最近「ウッシッシ」と思わずほくそ笑むような出来事はありましたか?
ほくそ笑む…(笑)。昨年末ですが、競馬で2000円勝ったってことですね。大きい金額じゃないけど、負けずに2000円勝ったっていうのが“ウッシッシ”くらいでしょうか。
でも“ウシ”じゃなくて“ウマ”だけどいいかな?(笑)
◆取材・文=neneko
◆スタイリスト:齋藤良介/ヘアメーク:佐藤友勝
1月29日(金)全国公開
出演=綾野剛
尾野真千子、北村有起哉、市原隼人、磯村勇斗
菅田俊、康すおん、二ノ宮隆太郎、駿河太郎
岩松了、豊原功補/寺島しのぶ
舘ひろし
監督・脚本=藤井道人
音楽=岩代太郎
主題歌:「FAMILIA」millennium parade(ソニー・ミュージックレーベルズ)
配給=スターサンズ/KADOKAWA
製作=『ヤクザと家族 The Family』製作委員会
公式サイト=https://yakuzatokazoku.com/
(C)2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会