土井裕泰監督、“W主演”菅田将暉&有村架純に絶大な信頼「この二人に演じられない役はないんじゃないかなって」<Interview>
「静かな覚悟みたいなものは感じていました」
――久しぶりの菅田さん、有村さん。今回の撮影を通して見たお二人の印象は?
二人ともこの何年か、たくさんの現場でその作品を背負う役割をやってきているので、主演俳優としての静かな覚悟みたいなものは感じていました。でも、現場では自由でいられるというか、自由に自分の思うままに表現できる力を手に入れたんだなということも感じました。
この作品に限らず、最近の作品を見ていると、この二人に演じられない役はないんじゃないかなって感じすらしています。
――主演の二人のほかに、オダギリジョーさん、戸田恵子さん、岩松了さん、小林薫さん、清原果耶さん、細田佳央太さんなど、いろんな世代の役者の方が登場されていますね。
基本的にはほぼほぼこの二人を見ているお話で、他の登場人物は彼らの数年間の中に横軸で関わってくる人なので、1シーンとか2シーンとか登場する場面も長くはないんです。
小林薫さんなんて脚本で言うと1ページにも満たないぐらいですし。でもやっぱり、みんな、この脚本を演じるのを楽しむために現場に来てくれて、その人ならでは、その人でなければ出せない存在感をそこに残していってくれました。
――映画監督の押井守さんも。
はい。押井さんとこんな形でお会いできるとは思ってもいませんでした。忘れられない出来事になりましたね(笑)。
――映画とテレビドラマとの違いと言いますか、撮られる時に意識することの違いはありますか?
自分の中では結構違うというかシフトを変えないといけないことも多いんですけど、今回に関しては、映画とかテレビとかではなくて、坂元さんの脚本にどうシンプルに向き合うか、そして主演の二人とどう向き合っていくかということだけを考えていました。
一つ言えるのは、映画はただ“観た”というだけじゃなくて一つの体験になると思っています。2時間という時間を二人と一緒に過ごしたような、自分自身を第三の登場人物になったような気持ちで見ていただきたいなと思っています。
――何気ない日常を切り取った作品ということですが、新型コロナウイルスの影響で、その日常が特別なもの、大切なものだったと気付かされる感じもありました。最後に見どころも含めて、読者へのメッセージをお願いします。
ちょうど1年前の1月、2月に撮影をしていて、その後、新型コロナの影響が大きくなっていきました。今あらためてこの映画を見てみると、日常のたわいもない出来事が、恋人同士が近づいて触れ合って生きていくということが、ちょっと懐かしい出来事のようにも感じます。
たった1年前のことなのに、私たちの中で世界がどこか変わってしまったことに気付かされますよね。僕たちみたいな仕事をしている人間にとっては、本当にいろんなことを考えさせられる1年だったし、今もまだ終わっていませんから。
でも、そういう時代だからこそ、今、この映画がいろんな意味を持って見ていただけるんじゃないかと思っています。
さっき言ったように、彼らより上の世代の人たちは自分の過去を投影してしまうんじゃないかと思いますが、若い人たちが観た時、どう感じてもらえるのかということにすごく興味があります。ぜひ映画館で観ていただければと思います。
◆取材・文=田中隆信
1月29日(金)公開
脚本:坂元裕二
監督:土井裕泰
出演:菅田将暉 有村架純
清原果耶 細田佳央太
韓英恵 中崎敏 小久保寿人 瀧内公美
森優作 古川琴音 篠原悠伸 八木アリサ
押井守 Awesome City Club PORIN/佐藤寛太 岡部たかし
オダギリジョー
戸田恵子 岩松了 小林薫
製作:「花束みたいな恋をした」製作委員会
配給:東京テアトル、リトルモア
公式サイト:http://hana-koi.jp/
(C)2021「花束みたいな恋をした」製作委員会