病院は傷や病気を治すだけじゃない…人に会いに行く場所
――作品を通して、医師や看護師のイメージが変わったことなどありますか?
もちろん、大事故が起きて3人でそれを治療するなど、テクニカルに医療を描くシーンもありますが、もっと田舎の診療所の物語として、町医者とおじいちゃんおばあちゃん、子供たちとが、病気じゃない人とも一緒に話していると、何か心を癒やしていく場面が多くて。そういうことの大切さは、昨今の医療ドラマが描いてこなかったことなんだな、と。
東京に住んでいるとどうしても病院って無機質なイメージがあったんですが、病院って、傷や病気を治すだけじゃなく、人と人との関わり合いがあって、人に会いに行く場所なんだなぁって。そういう感覚って、子供の頃はもっていたかもしれないけれど、そう言えば最近は全く忘れていたなっていうのを思い出しました。
――朔には過去に何かがあった、と先ほどお話しされていましたが、第4話ではそれが明かされるのでしょうか? 見どころなどを教えてください。
4話は、僕が演じる朔の過去が描かれるところなんですけれど、彼の人間性も徐々に分かってきます。今まで、どうしてこんなことをやってきたのか、などいろいろ見えてくる回でもあります。そういう、何かを背負って生きている人間として、キャラクターのつくりかたが、僕の中では新しかったです。
つまり、このドラマでは、壮絶な過去のある人を悲劇の人として描かないんです。過去を見つめて、それでも生きていることのほうが大切で。つらい過去があった人も、逆に、特に過去を背負っていない人も、皆同じように生きているんですっていう作品なんですよね。
そこに帰結するために、その壮絶さはしっかり描きながらも、ある部分はむちゃむちゃ振り切ってやってみました。そして、そんな朔も隣の人と同じようにご飯を食べて、生きているっていう、振り幅を大事に演じました。朔をただ単に過去のあるかわいそうな人として描かないのが、見どころだと思います。
取材・文=magbug