舞台「刀剣乱舞」の山姥切長義役などで人気を博す梅津瑞樹が、一人芝居に挑戦する。「独りでやる一人芝居を見に来てくれるお客さんのいる役者になりたい」と以前から語っていた彼が、その道を歩き始めた。100年後に地球がなくなるかもしれない世界の物語『HAPPY END』で、どんな“非現実”を見せてくれるのだろう。
――梅津さんは「一人芝居の公演を打ったら、お客さんが来てくれる役者になりたい」と語っていましたが、それが叶いましたね。
フタを開けたら客席に誰もいない、という可能性もまだ残ってはいますが…(笑)。でも今回、東映さんからお話をいただけたのは、演技面で一定のクオリティを出せると信頼してもらえたからだと思うので、ちゃんと応えられるものを作りたいですね。実はこの取材の前日に通し稽古をしたのですが、キツかったです。単純にセリフ量が多いし、掛け合いがないので、自分のセリフを言う明確なとっかかりがない大変さを、久しぶりに味わってます。
――一人芝居は、過去に経験があるんですか?
はい、「虚構の劇団」に入ってすぐの時期でした。この心許ない感じを、数年ぶりに思い出しています。
――タイトルは『HAPPY END』。100年後、膨張する太陽に地球が飲み込まれる世界の物語とのことですが、演じる小山内風太はどんな人ですか?
100年後には太陽に飲み込まれるけど、現状では国連などが対策を講じていて、もしかしたら未来があるかもしれない、ということが発表された日に生まれた一般人です。地球が滅亡するかもしれないから、まさに現状と重なるんですけど、エンターテイメント業界がどんどん縮小していく世界なんですね。その中で、「でもオレは役者になりたい」と夢を抱く人です。
――演じやすい役ですか?
役者を目指すところはまるっきり同じですし、彼の人生の紆余曲折に共感する部分は多いですね。そのあたりは、僕に近い要素を取り入れてくださったのかもしれません。作中に、世界中の“役者を志した人あるある”が…あったり、なかったり、みたいな(笑)。
――お稽古は大変そうですが、楽しいところは?
Twitterでは頭を抱えている写真を粟島瑞丸さん(脚色・演出)に上げられましたが(笑)、めちゃくちゃ楽しいです。実際に頭を抱えてはいるんですけど、苦労した分だけ楽しんでもいます。
――劇場は、舞台好きな人が足繁く通うシアターサンモール。この小屋を1人で埋める喜びとプレッシャー、それぞれあるのでは。
一昨年の春、劇団の公演でサンモールに立っているんですよ。その時は10人くらいであの舞台を埋めていたのに、今回は1人かい、と。寂しさと懐かしさ、そして誇らしさがありますね。サンモールは地下にあるので、「あのアンダーグラウンド感がウメツだな」と思われてここになったのかな、なんて適当な予測ですが(笑)。
――間もなく、幕が上がります。ぜひ、見どころを。
このお芝居の稽古期間に引っ越しをしたのですが、忙しくてガスの開栓に立ち会えなかったんです。立ち会いを頼むため実家に電話して、ふと「父の声は、僕が幼い頃から変わっていないな。人間って、年齢を重ねても声はあまり変わらないんだな」と感じました。もちろん老齢になると、喉の筋力が明確に落ちるから変化はあるのでしょうが、中年くらいならそんなに変わらない。その発見は本作を作るヒントとなりました、とだけお伝えします。
――一人芝居は、今後も続けていきたいですか?
今回はありがたいことに東映さんにプロデュースしていただき、おんぶに抱っこでやらせてもらいました。ゆくゆくはイッセー尾形さんのように、自分で企画して台本を書き自分で演じる、セルフプロデュースの一人芝居をやってみたいですね。けど、そのためにも本作を成功させないといけないので、精一杯自分がやるべきことを務めます。
取材・文=篠崎美緒
出演:梅津瑞樹
脚本:宮本武史
脚色・演出:粟島瑞丸(演劇集団Z-Lion)
音楽:坂部 剛
2月17日(水)〜23日(火・祝)
東京:シアターサンモール
チケット:9,800円(税込)
ライブ配信
視聴チケット:4,000円(税込)
初日公演ありがとう動画付視聴チケット:4,400円(税込)
(※初日公演ありがとう動画付視聴チケットの販売は2/17(水)19:30まで)
主催:『HAPPY END』製作委員会
東映株式会社
株式会社bamboo
企画・プロデュース:東映
公式サイト:http://solo-engeki.com/