草なぎ剛の3月は「大河」「ドラマ」「授賞式」と出番が盛りだくさん【連載コラム】
「人生において、シンプルなものが一番難しい」
３月６日土にはドラマ「ペペロンチーノ」（ＮＨＫ ＢＳプレミアムほか）が放送されます。東日本大震災から10年、宮城県牡鹿半島の海を望むイタリアンレストランの店主・小野寺潔役。昨年12月、宮城県石巻などでロケをしました。地元の方たちが炊き出しをしてくれて、触れ合いながら、僕らも心温まる、真心のある撮影だったなと思います。震災当時、僕はドラマの撮影中で、現場に行く移動の車中で地震に遭ったんですよね。今回、実際に津波が来たという海で撮影をしていたので、いろいろ思いはありました。震災後、家も流されて大変なときに寒波が来て、３月なのに雪が降ったらしいです。重なるように今回もロケ中に雪が降って、凍える寒さだったけど、当時はもっともっと大変な思いの中で皆さん頑張ったんだなと。
僕が演じる潔は震災の後、酒にのまれて病院に通うことになるんだけど、そういう方も実際いらしたと聞きました。僕を更生させてくれる医師役が國村隼さん。１シーンだけ呼んでくれた映画「進撃の巨人」（'15年）で少し共演してますけど、渋くてすてきな方。２人のシーンはすごく好きです。奥さん役の吉田羊さんともいい夫婦の関係が築けたんじゃないかな。このドラマのポスターのコピーは「人生は、シンプルで難しい」。ペペロンチーノもオーリブオイルと唐辛子とニンニクとパスタ、それだけのシンプルな料理だけど、実は難しいというシーンもあって。いい意味で考えさせられるなと思いました。人生において、シンプルなものが一番難しいと、脚本家の一色伸幸さんがおっしゃっていて、まさしくそうだなと。ただただ毎日みんな生きていくんだけど、何か悲しいことがあったら、頭では分かっているんだけど立ち止まってしまう。想像を絶する悲しみとか、ずっと待ち続けている方たちがいて、次に進めないままの方はたくさんいる。そんな方たちに寄り添って、少しでも温かい気持ちになれるような作品になればいいと思っています。
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