原作に忠実でかつ面白いのが“三谷マジック”
――三谷さんの脚本の魅力を教えてください。
三谷さんのシリーズは「楽しく読み進める小説の感覚がある」という感想をよくいただきます。アガサ・クリスティーの原作を好んでいる人からすると、「ポアロってこういうちょっと嫌なやつだよね」という部分も含め、非常に原作に忠実でかつ面白い。これが“三谷マジック”なのかなと思っています。
また原作の舞台だった死海を熊野古道にしたり、作中のフレーズに出てくる“ABC殺人事件”を“いろは殺人事件”としたりというウィットに富んだ変換術も楽しいですね。
――「死との約束」は全3作の中でもかなり複雑な事件だと思います。
今作の謎解きは大変でしたね。自分でも何を話しているか分からなくなりそうなくらいややこしくて…(笑)。
オセロゲームの後半で全てをひっくり返すようなどんでん返しと、そのための伏線がよくできているなと思います。台本を読んだ段階でも面白いなと思ったので、さまざまなミスリードを含め面白いと思っていただけると思います。
――現場の雰囲気はいかがでしたか?
本堂家は松坂慶子さんから原菜乃華ちゃんまで、幅広い世代のファミリーなので、バラエティーに富んでいて面白かったですね。
松坂さんは憧れのスターの1人でもありましたし、シルビア(・グラブ)さんや山本耕史さんは舞台でもご一緒したことがなかったので、スリリングな駆け引きもできて楽しかったです。
勝呂は嫌なやつなので、わざと怒らせて相手の動きを引き出したりしますが、この駆け引きを上手くするには、はめられる人のリアクションも必要なんです。「押して押して押すけど、実はわなだった」というような演技の掛け合いも楽しめると思います。
(鈴木)京香さんも溌剌としたユニークな方なんだということが分かりました。「だから三谷さんが好きなんだな」と思いましたし、僕も非常にファンになりましたね。
三谷さんが「(鈴木演じる穂波とは)ちょっとしたラブロマンス」と言っていたので、とてもうれしく思っています。
3月6日(土)夜9:00~
フジテレビ系にて放送
<スタッフ>
原作:アガサ・クリスティー
脚本:三谷幸喜
<キャスト>
野村萬斎/松坂慶子、山本耕史、シルビア・グラブ、市原隼人、
堀田真由、原菜乃華、比嘉愛未、坪倉由幸(我が家)、長野里美、
阿南健治、鈴木京香ほか