佐野史郎朗読によるオーディオブック「怪奇幻想シリーズ」第一弾、江戸川乱歩の『鏡地獄』独占配信
佐野史郎が朗読する江戸川乱歩の「鏡地獄」が、PC向けオーディオブックサービスのListenGo by dwango.jp(リスンゴ)にて2月26日より独占配信を開始した。
これは、佐野によるリスンゴオリジナル作品「佐野史郎 怪奇幻想シリーズ」の一作で、少年時代から怪奇幻想の世界に親しみ、これまで関連作品へも多数出演してきた佐野が厳選した作品を朗読する。
シリーズ第一弾は江戸川乱歩の「鏡地獄」で、第二弾の「芋虫」は3月下旬に、第三弾は「屋根裏の散歩者」となり、いずれもリスンゴにて独占配信の予定だ。
今回、日本映画大学学長であり、映画監督、脚本家の天願大介が音響監督を、めいなCo.がBGMを担当している。
佐野史郎コメント
かつてカセットブックの時代に、「人間椅子」「押絵と旅する男」を朗読して以来の乱歩作品の朗読とあって、若き頃の自分に対する挑戦でもありました。なので、ディレクターも当時と同じく天願大介さんにお願いし、時を超える旅にともに出かける感覚をも抱いておりました。
加えて、乱歩世界を想わせる私のデビュー映画、林海象監督「夢みるように眠りたい」の音楽を担当なさっためいなCo.(熊谷陽子、浦山秀彦)にも参加していただいたことで、乱歩愛あふれる世界となっていることと思います。
スタジオは、さながら彫刻のアトリエのようでした。一音一音、活字を削りだす作業は、決して容易いものではありませんでしたが、乱歩が語りかけてくる言葉に応えるべく、妖しの世界へと身を投じる想いでした。
「鏡地獄」は、言葉でもって未知の領域の映像世界を体験させるべく、ただひたすらに途切れることなく、それこそ蟻地獄のように読者を幻惑していきます。ここではさらに文字を音にして、地獄のるつぼを体験していただかなければなりません。話を切り出す男が聞いたというKという男が語る物語は、クラシックホラー映画を想わせるマッドサイエンティストもの。もちろん、乱歩に欠かせない禁断のエロスも、重要な役割を果たしています。果たして語り部の存在は、いったい誰だったのか? あわせ鏡のように、実態がわからなくなっていく喜悦を味わっていただけましたなら幸いです。
「芋虫」は、乱歩自身が決して時の政権や軍部、それに順じる市井の人々を批判したものではないと言っていますが、あらためて音にしてみると、強烈な戦争批判のメッセージとして体の奥底に響いてきます。戦中、乱歩作品が発禁処分となったのは、当時の状況を考えると当然のことだったのかもしれません。と同時に、国家や地域、家族など、あらゆる共同体の規約や常識、モラルにとらわれることのない、至高のラブストーリーでもあります。救いのない世界に、乱歩的逆転の思考を身につければ、絶望は救済となることでしょう。
極上の官能小説を、ぜひ、音でお楽しみいただけますよう。
著者:江戸川乱歩
ナレーター:佐野史郎
公式ページ: https://listengo.dwango.jp/page/audiobook-kaikigenso