<試写室>“名探偵”野村萬斎と共に、史上最も複雑な事件を推理!「死との約束」
疑ってもキリがない…怪しい人ばかり登場
アガサ・クリスティの原作から、舞台を熊野古道に置き換えた今作。野村萬斎演じる名探偵・勝呂の特徴的な話し方や舞台の雰囲気にしっかり心をつかまれ、まるで物語の中に入り込んだような気持ちになる。
作品冒頭で、勝呂がどこからか耳にする「分からないのか、こうなったらもう殺すしかないんだっ」という言葉。「この声の持ち主が怪しいぞ!」と意気込んで見始めたものの、怪しい人だらけで疑っても疑ってもキリがない…。
中でも、物語の鍵となる本堂家の雰囲気は最悪。日頃から抑圧されている様子の子供たちからは本堂夫人(松坂慶子)への恨みが見てとれ、いつ誰が殺していても不思議ではない。
特に松坂の“嫌な母”っぷりが最高で、登場して一言話しただけで「こんな母親嫌だな」と思わせる説得力がある。また、長男・礼一郎(山本耕史)や次男・主水(市原隼人)らの言いなりな雰囲気も相まって、近寄りがたい一家を見事に表現していた。
散策ツアーでもわがままっぷりを発揮していた夫人は、ツアー中に殺されてしまう。誰にでも犯行のタイミングがあったこの事件。早速、捜査を開始した勝呂は、見事に容疑者たちから新たな証言を引き出していく。容疑者たちに鎌をかけ、失言を引き出す技はさすが勝呂だ。
その後、犯人が見えた勝呂はみんなを集め、推理を披露するのだが、この事件のトリックはかなり複雑。勝呂と一緒に推理するためにも、ドラマをしっかり細部まで見ながら、証言の食い違いなど解決へのヒントを探し出してほしい。
「死との約束」は、3月6日(土)夜9時より放送。
◆文=R
3月6日(土)夜9:00-11:40
フジテレビ系にて放送