今後は「パーソナルタイムシフト」への対応やレコメンド機能の充実を
――最初は在京民放5局からのスタートで、2016~2019年にかけて系列の関西の民放5局が加わりました。構想としては最初からこれくらいのスピードを考えていたのでしょうか?
2015年10月のサービス開始の段階では、ユーザーの反応がどうなるかというのは、放送局自身も予想がついていませんでした。インターネットの中に放送局のコンテンツをもっと増やすことを、まずは「やってみよう」というところから始めたと思っています。
TVerが立ち上がってからさまざまな反響やご意見をいただき、思った以上にこのようなサービスをユーザーが求めていらっしゃったということが開始から半年間くらいの間で分かってきて、そうした中で在阪局にもお声掛けさせていただきました。
当時はまだまだ在京局のコンテンツ数も足りなかったですから、在阪局のコンテンツを増やすということで、よりユーザーのニーズに応えられるんじゃないかというところでお声掛けさせていただいて、そこから北海道から九州、沖縄まで、日本全国の放送局にご参加いただいております。
――ここまで5周年を迎えた「TVer」に歩みや現在地をお伺いしましたが、さらに5年後、10年後と、長期的に見据えている目標はありますか?
先ほど申し上げました「パーソナルタイムシフト」、ユーザーの行動や要望に合わせて、最適なタイミング、最適なチャネル、最適なコンテンツを提供していく、このこと極めたいと思っております。何よりもユーザーファーストで、お客さまの声に耳を澄ませて、寄り添ってサービスを改善していきたいと考えています。
あとは放送の同時配信ですね。2020年の10月から12月まで、日本テレビ、読売テレビ、中京テレビの3社で取り組まれたトライアル配信を「TVer」で請け負わせていただきました。権利者の皆さまのご理解とか、ビジネスモデルの構築であるとか、課題は多いのですが、ユーザーニーズが高いことは承知しています。
また、番組表の中には入り切らないコンテンツというものも、放送局には意外とたくさんありますので、これも今後拡張していきたいと考えております。
システム的なところで申し上げますと、レコメンド機能を磨いていきたいですね。他の動画サービス、配信サービス等でいろいろ研究もさせていただいておりますので、ユーザーがより使いやすいサービスにしていきたいです。
例えば、「マイリスト」という機能があるんですけれども、この機能をもっと分かりやすく、使いやすくしていきたいと思っています。マイリストは番組だけでなく、タレントごとにも登録することができて、気になるタレントのマイリスト登録をしておけば、そのタレントが出ている配信番組がマイリスト画面で一覧表示されたりするんですね。
そういった機能がまだユーザーの皆さんに十分認知されていないんじゃないかというところも課題としては感じているので、使いやすくするためのブラッシュアップもやっていきたいと思っています。
TVerという会社が放送局と一緒にテレビの未来の形を作っていかないといけないと強く感じていますので、引き続き放送局や広告主の皆さまと連携しながら、ユーザーニーズをかなえるサービスであり続けたいと思っています。