酒井若菜「抱え続けていたりする感情を共有できる作品」原発事故から10年、異なる選択をした姉妹を描く
新山千春「背中をそっと押すことができるものになれば…」
麻子とは反対に、福島から避難した姉の祐実を演じた新山は「タイトルの通り、焦らずにゆっくりと、被災された方々をはじめ多くの方々が心に抱える“氷”がとけていく、今回の作品がそこに寄り添い、その背中をそっと押すことができるものになればいいなと思っています」と明かした。
そして、祐実の息子・麦(ばく)を演じた三村和敬は「たくさんの祈りがこもった作品です。けれどそれは押しつけるものでもなくて、聴いていただいた 時にふと、自分の近しい人を思ったり、大切なものを考える時間ができたりする。そんな作品に できたらいいなと思います」と語った。
ラジオドラマ「はるかぜ、氷をとく」あらすじ
あの時、私とは違う道を選んだあなた。その選択を応援したくて、口にできなかった言葉があった。あなたを思って、 傷つけたくなくて、飲み込んだ思いがあった。それは胸の奥底にたまっていって、10年という歳月の中で、氷のように 冷たく固まった――。
原発事故のあと、息子の麦(三村)とともに福島から千葉へ、自らの判断で避難をした祐実(新山)。一方、娘・こなみ(中村)とともに福島に残った、祐実の妹・麻子(酒井)。姉妹はそれぞれの場所で励ましあいながら、失ったものを少しずつ取り戻す日々を送ってきた。それでも……。
10回目の春が近づく、ある日。1本の電話がきっかけとなり、姉妹の胸の奥で冷えて固まっていた複雑な思いがあふれ出す。「あんなことさえなければ…」そう思っても戻れない、“あの日”を境に変わってしまった世界。異なる選択をしながら、その世界をともに生きようとする、2人の母親と2人の子どもの物語。
3月13日(土)夜10:00-10:50
NHK-FMにて放送