ある世代(現在40歳前後の人たち)にとって、広末涼子はただのアイドルや女優ではない。「ヒロスエ」は特別な存在、ミューズだ。
彼女の登場は鮮烈だった。1990年代半ば、数多くのCMに出演。特にNTTドコモのポケベルCM「広末涼子、ポケベルはじめる」は彼女の知名度を飛躍的に上げた。ショートカットでボーイッシュな広末の弾けるような笑顔は、“少女”の理想像を具現化したかのようで、またたく間に一世を風靡した。
1997年には竹内まりやプロデュースによる楽曲 「MajiでKoiする5秒前」もヒット。この頃ほとんどいなかった正統派ソロアイドルだった。同年、反町隆史、竹野内豊のW主演ドラマ「ビーチボーイズ」(フジテレビ系)ではヒロイン役に起用され、映画「20世紀ノスタルジア」では主演。日本アカデミー賞など各賞の新人賞を総なめにし、女優としても注目された。
もともと広末涼子は小学生のときから女優に憧れていた。その頃から首都圏に住む叔父に、高校生になったらそちらでお世話になると告げていたほど。中学になると顧問の先生に「女優さんになりたいからそんなに陸上がんばれないけど、いいですか?」と断りつつ陸上部に入部。それでも走り高跳びで県大会2位に入るほどの才能だった。ずっと男の子に間違えられ、「女優になるなら広末は吉本」と言われるような明るいキャラクターだったという(「Withnews」2019年1月19日)。