――今回のお話は、いつものナレーションとはちょっと違った登場でした。工夫したことはありますか?
もともとナレーションよりせりふが好きなんですが、ナレーション以外のせりふだったので、たった2言でしたが、難しかったです。でもナレーションでは出せない感情が出せて、役者に戻ったようでうれしかったです。
――31年という長い期間、演じてこられましたが、一番の思い出といえば何でしょうか?
さくらももこさんが亡くなったことだね。実はさくらさんが亡くなった時には、ぼくは心の中で、“75歳になったら「ちびまる子ちゃん」を卒業させてもらう”って決めていたんですが、まださくらさんに言える段階ではなくて。できれば今日、この時にさくらさんに言いたかったな。それが一番残念なことかな。
実はさくらさんのお別れ会で、さくらさんの生い立ちをナレーションで語ったんです。TARAKOさんと2人で。でも感謝するにはすでに遅く、一言ありがとうと言いたかった。
――ナレーション以外で演じてみたかったちびまる子ちゃんのキャラクターはありますか?
ほとんど小学生の役だから、ないですが、変なおじさんとかやりたいよね、そういうの好きだから。ナレーションって声とか抑揚とか幅が狭くて、自分の間を作りづらい。尺にぴたっと入れなければいけないし、自分を捨てないとできないし、“思い”とかをいれづらいので苦手意識がずっとありました。だから、なんとかしようという思いで満足できなかったことが長く続けられた秘訣(ひけつ)かな。
――新しくナレーションを担当する方へ、一言お願いします。
どなたかわかりませんが、その人の世界で良いと思う。その方がぼくも楽かな。潔く別の方だとわかるようにやってくれたら良いなと思いますね。“かわりましたよ!”っていう方が良いとぼくは思う。これからは「ちびまる子ちゃん」をお客さんとして見続けていきます。
――ファンの皆さんへの気持ちを一言お願いします。
ファンの皆さんもですし、番組は大勢のスタッフで作られていて、特に「ちびまる子ちゃん」は同じ番組を31年間続ける上で、大勢のスタッフと関わってきたので、その皆さん方に感謝したい。
こんな長寿番組に出会うのは一生に一度あるかないかですよね。たくさんあるナレーションのお仕事の中で一番気を遣うのはこの「ちびまる子ちゃん」なんです。せりふの分量は少ないけど、勢いでできないから、体調とかも含めて一番気を遣う。この年までやってこられたことに、スタッフの皆さんに感謝です。
31年間、1,445回もの間、おかしみがあり温かみのあるお声で、いつもまる子たちを、そして番組を支えてくださり本当にありがとうございました!キートンさんには感謝しかありません。本当にお疲れ様でした!
ご卒業されるこの“ある春の一日”をキートンさんに捧げます。いつも応援して下さる視聴者の皆さま、この特別な30分をどうぞ最後の最後までお見逃しなく!
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