長崎県で5月7日(金)に開催が予定されている東京2020オリンピックの聖火リレーで、東西文化交流の象徴である「遣唐使船」を活用した海上聖火リレーを実施することが14日、発表された。
「遣唐使船」とは、悠久の時代から日中交流の懸け橋となり、さらには東アジア圏、シルクロードを通じて、遠くヨーロッパにまでつながる、東西文化交流に多大な貢献を果たした船で、公益財団法人「角川文化振興財団」(角川歴彦理事長)が、2010年に開催された上海万博に合わせ復元したもの。
日中友好のシンボルとして再現された遣唐使船は、全長30メートル、幅9.3メートル。万博開催時は長崎港を出港し、およそ1カ月の航路を経て海を渡り、上海万博会場に出展された。今回、角川理事長から中村法道長崎県知事に遣唐使船の聖火リレーでの活用の提案があり、実施されることとなった。
「長崎県庁」から「長崎水辺の森公園」へと向かう海路を聖火リレー特別区間として設定し、航行。乗船する聖火ランナーは、著名俳優を起用し実施する計画だ。
長崎県庁で会見した中村知事は「コロナ禍における聖火リレーは、関係者の皆様の絶え間ないご尽力と住民の皆様のご理解、ご協力により実現できるものであり、リレーを通じて県民に夢や感動を与え、地域の賑わいづくりにも寄与するものであります。今回、遣唐使船を活用することで、聖火リレーをより効果的に実施できるものと考えます」と述べた。
聖火リレーにおける遣唐使船の活用を提案した角川理事長は「ぜひこの遣唐使船がオリンピックのシンボルとなりますように、県民の皆様にも歓迎して頂けることをお願いしたい」と語った。
聖火を運ぶ遣唐使船は、4月29日(木)~5月7日(金)まで、長崎県庁南側岸壁に係留展示されるほか、同期間は県庁1階ロビーに聖火(トーチ)を持って撮影できるフォトスポットを設置、さらに遣唐使船の歴史を解説するパネルや、遣唐使として唐に渡り、後に朝廷に使えた吉備真備が書いたとされる墓誌の原寸大コピーも展示される。
また同会見にて、「角川文化振興財団」は、バチカン市国に残る日本関係文書の調査研究活動を中心とするプロジェクト「バチカンと日本 100年プロジェクト」の一環として、2022年4月に公開シンポジウムや、映画「沈黙-サイレンス-」の上映会を実施することなども合わせて発表した。