――とわ子さんを取り巻くキャラクターについてもお伺いします。まず、松田龍平さん演じる、レストランのギャルソンである一人目の元夫・田中八作の服装のポイントは?
伊賀:八作は、“何もしなくてもモテる”とト書きにあったので、とにかく引き算!
清潔感はもちろんありつつ、洋服の力を借りて自分を大きく、良く見せたりしようとしてないということを表しています。色としては、白と薄いピンクが多いです。龍平くんとは、長らく仕事していますが、白とピンクって着せたことなかったんです。とわ子を中心とした男性3人のバランスを見たときに、ペールトーンにしたくて。だから、衣装合わせの時は、ちょっと恥ずかしそうでしたね(笑)。「僕、ピンクですか?」みたいな(笑)。
杉本:でも、すごく似合ってましたよね。
――では、2番目の元夫で、ファッションフォトグラファーの佐藤鹿太郎(角田晃広)についてはいかがですか?
伊賀:角田さんが演じるということもあるので、何か“押し”が強い感じにしたいなと…。鹿太郎は、3人でのバランスを考えたときに、ポップ面を担当してもらっていて、カジュアルな感じで、ライダースに古着っぽいシャツを着ているようなことが多いです。あとはリアリティーの一つとして、フォトグラファーなので、映り込みを意識して黒ベースで。監督からの希望で、赤色がキーになっているので、差し色で赤を入れることもありますね。
――岡田将生さん演じる、3番目の元夫で「しろくまハウジング」の顧問弁護士の中村慎森もキャラクターに沿った服装ですよね。
伊賀:慎森は、キャラクターのまんまというか。脚本を読んだときに、これはタートルネックしかない!と思って(笑)。もちろん岡田さんがこういう服を着たらかわいいだろうなとも思ったんですが。
杉本:ま~、似合いますよね。
伊賀:先ほど八作は引き算と言いましたが、慎森の場合は基本的に洋服のことを考えたくないんですよね。だから基本的にセットアップ。セットアップなら誰からも何も言われないし、間違えも無いっていう彼のロジックがあるというか。たまにネクタイしているときもありますが、基本的には首を隠していて、内面を見せたくないというキャラクターが出ていると思います。
杉本:一番、露出が少ないキャラクターかもしれませんね。
――3人ともメガネをかけていますが、それぞれのメガネにこだわりがあるんでしょうか?
伊賀:極端にセルが太いものとかは避けるようにしました。3人ともメガネで、それぞれの主張があるとぶつかってしまうから、なるべくシンプルなものにしましたね。本人たちと話し合いつつ、3人の中で被らないようにということで選んでいます。
――とわ子の親友である、綿来かごめ(市川実日子)の服装もとてもおしゃれでした。
伊賀:かごめは、とわ子さんと別の意味で洋服が好きというか。多分、2人とも自分のキャラクターを出すのに洋服を使うのが好きな方だと思うんです。とわ子さんの場合は、それがハイファッションだったり、今の自分の気分を表すものっていう感じ。
かごめの場合は逆に、いつのものか分からない服を、自分流の組み合わせで着たいという感じなんですよね。とはいえ、20代の服をいつまでも着ているというわけではなく、古着ばっかりになったり、あまりにもルーズになったりはしないよう、適度にすることは意識していて、市川さんとも話し合っています。
それと、かごめも、慎森と同じくあまり自分を見せたくないタイプ。だからどんな服を着てても、薄いタートルネックは仕込んでいます。
――松さんは、ご自身の衣装について何か相談することはあるんですか?
杉本:松さんの場合は、普段は着ないスタイルの服装が多いので、チャレンジしていただいている部分もありますが、私服もおしゃれな方なので、着こなしの部分でシャツをインするかどうかとか、袖をどうするか、心情に合わせて服を着替えるかどうかとかは相談しています。
――では最後に、視聴者の人がとわ子さんの服装を真似するなら、どういったポイントを取り入れたらいいか教えていただけますか?
杉本:“とわ子”さんっぽさと言ったら色使いです。
いろんなお店に行っても、世の中の状況やトレンド的にも、ナチュラル系のベージュとか黒のアイテムが多くて、売れ筋やつい買ってしまうのはやっぱりベーシックな色になると思うんですが、まずは差し色で靴とかバッグに色のポイントを入れると、それだけでも違うスタイリングになると思います。
伊賀:おおいに真似してほしいですね。結構グレーとか黒とかになりがちですけど、明日一個赤いカーディガンでも着てみようかなとか。それによって会話のきっかけになることもあるでしょうし、何処かの誰かにそういう思いが生まれたらうれしいですね。
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