警視庁捜査一課⻑・大岩純一(内藤剛志)のもとに「着物でぐるぐる巻きにされた男性の遺体が見つかった」という知らせが入る。犯人は被害者を絞殺した後、なぜか色留袖の反物を遺体に巻き付けていた。橙(だいだい)色のその反物には美しい女性の絵が描かれており、布地の一部が細⻑く切り取られていた。
被害者の多田野智也(犬塚マサオ)は和服のレンタル店を営んでいたが、前年倒産。近年、レンタル店の多くはコストを抑えるためにデジタルプリントで柄を印刷した着物を扱っているが、多田野の店では先代から手描きの和服にこだわり続け、それゆえ安価で着物をレンタルするライバル店に客を奪われてしまったらしい。
捜査で、遺体に巻かれていた反物の絵を手掛けたのは、5年前に他界した日本屈指の手書き職人・荒川祥雲(篠塚勝)だと判明する。
祥雲の死後、跡を継いだひとり娘の荒川着子(大⻄礼芳)はその美しさと腕前から、“呉服界のカリスマ”の名をほしいままにしていたが、多田野と言い争っている姿が目撃されていたことが発覚。現場資料班刑事・平井真琴(⻫藤由貴)は着子を直撃するため、彼女が出席する着物展示会に潜入する。
和服を艶やかに着こなした着子は、壇上では「伝統、命︕」「父の意志と伝統を受け継ぎたい」などとスピーチしていたが、控室で口にしていたのはアップルパイと炭酸飲料、さらにサングラス姿でアメリカ車を運転するなど、“和”や“伝統”のイメージをことごとく覆すアメリカンなライフスタイルだった。しかも、着子は手描き職人でありながら、金儲けのため、裏ではデジタルプリントを推進しているというウワサもあると分かる。
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