TBS系ドラマ「俺の家の話」が、第107回ドラマアカデミー賞で作品賞ほか主演男優賞、監督賞、脚本賞と4部門を受賞した。磯山晶チーフプロデューサー&勝野逸未プロデューサーが手掛けた本作は、長瀬智也演じるプロレスラー・寿一が、実家に戻り能楽と介護、家族に向き合うホームドラマ。
磯山CP×脚本家・宮藤官九郎のタッグ作品としては、「流星の絆」(2008年、TBS系)以来5度目の受賞、勝野プロデューサーは初受賞となる。(以下、一部ネタバレを含みます)
――まずは、受賞の感想を教えてください。
勝野:率直にすごくうれしいです。宮藤さんや素晴らしい出演者のみなさんとドラマをやれただけでもうれしいことで、みんなで「ごほうびみたいな作品だ」と言っていたぐらいです。その上、皆さんに作品が評価していただけたことはとてもありがたいです。
磯山:同時に、プロデューサーとして “大変だったランキング”を作るなら間違いなく上位にランクインする作品だったので、苦労が報われた感もあります。とにかく重たい車輪を回したドラマなので、重たかった分、受賞できて本当にうれしいですね。
――特にどんなところが大変だったのでしょうか?
磯山:やはり、感染症対策をしながらの撮影ですね。撮影中に緊急事態宣言も出ましたし(2021年1~2月)、プロレスのシーンではエキストラさんに集まってもらうけれど、客席からは声援を出せない。というような状況や、実際に感染者が出ないかということも心配でした。キャストも大人数で、特に西田敏行さんに万が一のことがあってはいけないと…。ずっとハラハラしていて、最終話まで無事にオンエアできるのかなという不安でいっぱいでした。
――劇中もコロナがある世界にしたのはなぜですか?
磯山:打ち合わせで「コロナのない世界にするのか、ある世界にするのか」と話し合ったとき、特にプロレスはコンタクトスポーツなので、コロナがない世界にするとその分、撮影でのリスクも伴う……それなら、コロナありで観客やセコンドのみんなはマスクをした方がいいんじゃないかと。
第1話の台本が決定稿になる前の段階で、「観客が社会的距離を守りながら盛り上がっている」という宮藤さんのト書きは入っていたと思います。それを見たとき、これはもうコロナありでやるんだという覚悟が固まりましたね。
――登場人物がマスクをしている姿は、違和感なく受け入れられていたと思います。
磯山:ドラマは時代を映す鏡だと思うので、緊急事態宣言中に放送が始まるのに、テレビ画面に主人公たちがマスクなしのスーパーフリーの状態で出てくることに違和感があるという気持ちはありました。
でも、家族だけの場面はマスクなしとか、本来、介護ヘルパーのさくら(戸田恵梨香)はマスクをする立場ですが、寿三郎(西田敏行)のたっての希望でしないという設定にしようとか、細かいルールを決め……。だから、ゲストで出ていただいたのにマスクを1回も外せなかった方もいました。それでも、マスクをしていても目だけで十分芝居は伝わるんだなという発見もありました。
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