“朝ドラ”こと連続テレビ小説「おかえりモネ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)の第2週「いのちを守る仕事です」は、宮城県、気仙沼の海の町で育ち、山の町で就職した主人公・モネこと百音(ももね/清原果耶)が気象予報士を目指すきっかけが描かれた。高校を出て就職したものの、やりたいことがみつからなかったモネにやりたいことが芽生えてきたきっかけは、気象予報士の朝岡(西島秀俊)と医者・菅沼(坂口健太郎)。この西島、坂口に加え、父・耕治を演じる内野聖陽は、3人とも朝ドラ経験者だ。今回はヒロインを囲む、魅力的な男性キャラをフリーライターでドラマ・映画などエンタメ作品に関する記事を多数執筆する木俣冬が解説する。(以下、一部ネタバレが含まれます)
山でピンチのモネを3人の男たちが救う
朝ドラでは主人公を支えてくれる男性キャラが楽しみのひとつ。「おかえりモネ」では、第1週、第2週でモネ(清原果耶)の騎士“ナイト”的人物を3人も一気に登場させて視聴者を盛り上げた。
娘想いのお父さん・耕治(内野聖陽)、仕事面で引き上げてくれそうな気象予報士・朝岡(西島秀俊)、年齢が最も近くいい話し相手(ケンカ相手?)になりそうな医者・菅波(坂口健太郎)の3人である。彼らは、それぞれのやり方でモネを励まし、助ける。
父・耕治は、故郷の亀島を出て慣れない山の町・登米に暮らしはじめたモネを心配し、実家に連れ戻そうとするが、モネなりに何かを見つけようとしていると感じてそっと帰っていく。手作りの笛だけを残して。この笛がのちに、山で雷雨に遭遇したモネと少年の助けになる。
朝ドラではたいてい主人公の父親は頼りなく、足手まといと言っていいくらいの人物が多い中で「モネ」では、なかなか良さげなお父さんの登場にホッとする視聴者も多いのではないだろうか。
朝岡は、モネが林間学校の子どもたちを引率し山に入って雷雨に合ったとき、モネのSOSを受けて迅速丁寧に天候情報を伝え、その上、気象の魅力を語る。パソコンを立ち上げ冷静にデータを挙げてモネに指示する口調が頼もしかった。
菅波は、モネが助けた少年・圭輔(阿久津慶人)の身体の状況を心配し、アドバイスを与え、無事に子どもの生命を救った。
ただし、戻ってきたモネに、今回のことは知り合いの気象予報士と医者に助けてもらっただけでモネがしたことは何もないと手厳しいことを突きつける。「あなたのおかげで助かりましたっていうあの言葉は麻薬です」というセリフは、承認欲求を求めがちな日本人の心に対する批評性があってドキリとなる。
それでもモネは菅波のキツイ言葉に怒ったり悲しんだりすることなく、山や森の勉強に励む感心な人物であった。そして、朝岡のような気象予報士の仕事に興味を持つ。