吉沢亮が主演を務める大河ドラマ「青天を衝け」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の第16回が放送された。同作は、新一万円札の顔としても注目され、“日本資本主義の父”と称される渋沢栄一(吉沢)が幕末から明治へ、近代日本のあるべき姿を追い続け、時代の渦に翻弄され挫折を繰り返しながらも高い志を持って未来を切り開いていく姿を描く。
(以下、第16回のネタバレを含みます)
第16回「恩人暗殺」では、堤真一演じる円四郎が過激な攘夷派により暗殺。雨が降りしきる中、円四郎は「死にたくねぇなぁ…」とふらりと立ち上がり、最期に空を指さす姿が印象的だった。
また、惇忠(田辺誠一)や平九郎(岡田健史)が水戸騒動に関わった嫌疑で連行されるなど、それぞれの運命を大きく変える場面が描かれた。そんな激動の第16回の演出を担当した村橋直樹氏が撮影の裏側などを振り返った。
円四郎が暗殺されるシーンについて、演じる堤とどのような話をしたかを聞くと、村橋氏は「円四郎はある種、人生最高の時に死んだのではないかと思っています。円四郎は暗殺される前に、慶喜(草なぎ剛)へ『一生ついていきます』と伝えます。その返事を慶喜は微笑みで返す…円四郎にとって最高に満たされている瞬間だったと思います。なので、暗殺は円四郎にとって本当に予期せぬ出来事だし、目の前に明るい未来しかない状態で、人生最高の時に死んでいきたいな…と考えました。そんな中で堤さんとは、最期は立ち上がって歩いていくような表現をしようと話し合いました」と明かした。
また、村橋氏は「あえて、堤さんの顔がしっかり見える状況では撮影していなくて、円四郎が見ている“目線の先”を表現したくて、横から撮るという形にしました。手を伸ばしたり、その先に見えているものを彷彿とさせるようなシーンにしました」と振り返った。
さらに、印象に残ったせりふとして村橋氏は「ずっと『殿…』と慶喜のことを呼んでいた円四郎が最期に『やす…』と呟くのが印象に残っています。とても大森(美香)さんの脚本っぽいなと、素敵だなと思いました。円四郎は慶喜のことや、未来のことたくさんのことを考えていたと思いますが、最期に妻のやすの名前を呼ぶ。やすのことも心残りだったのだろうなと思います」と語った。
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