女優の仲間由紀恵と、映画監督の河瀨直美が5月29日、オンラインで行われた第7回「Women of Excellence Awards」授賞式に登壇。その後のトークショーで家庭や子育てと仕事の両立、意識の切り替えのアイディア、17歳になった息子と育ち盛りの双子についてそれぞれ語った。
「Women of Excellence Awards」は、長年プロフェッショナルとして実績を重ね、後進のロールモデルとして新たに道を切り拓く女性リーダーや傑出したスペシャリストに贈られる賞。今年はビジネス部門を河瀨監督が、スペシャリスト部門を仲間由紀恵が受賞した。
仕事とプライベートの切り替えについて、河瀨は「女性は、着る服だったりお化粧だったり、そういう少しのもので切り替えをしているんじゃないかな。私もそうですけど、例えば今日はこのピアスにしようとか…」とコメント。仲間は「そういう時間を大事にしたい、大事にしたいと思ってる毎日です…。今はやっと落ち着いてきましたけど、ピアスで切り替えどころか、現場でメイクも衣装も用意してもらえるお仕事に甘えて、直前まで寝てそのまま出ていく状態で…」と双子の子育て真っ最中のリアルを告白。
河瀨は「子どもが小さい頃は、何もかもが地続きで全然終わりがないんですよね。全くプランニングできない」と理解を示し、「そういえば私も息子がちっちゃい頃は、家にはPC持ち込まないと決めてました。どうしても見て仕事しちゃうから。家に戻って息子の寝顔を見て切り替える感じで」とコメント。「その頃やってたのは、一輪挿しを買ってきて、お庭の草花を生けることかな。それだけで何かが変わる気がして」と語り、仲間も「それくらいならできるかも…実践します」と決意していた。
仲間は、双子の子育てについて「大変ですけど、その分の楽しみもあるのかなと感じています、最近は2人で遊んでくれる時間も増えましたし、その分、家の仕事をできる時間もできたので、大変さも成長と共に変わっていくのかな」とコメント。
一方、河瀨の長男は今17歳だそうで、「映像には興味持ってるみたいですけどね。高校入ったときに、『朝が来る』の現場の照明の一番下っ端につけたんですよ。1日中、雨の中でかっぱ着せてデイライトの照明ずっと持たせて。俳優さんとかのいる第一線の現場には入れてないですけど、映画はこういうところで支えられてるって分かったんじゃないかな。私の息子って言わないと思うけど、かわいい子なので早く旅をしていただいて、皆さんに鍛えてもらいたいなと思ってます」と語った。
次に自分へのご褒美を問われた仲間は「仕事柄、もともと朝起きるのは得意だったので、朝3時くらいに起きて、子どもが目覚める6時くらいまでの3時間を自分の時間にする。眠い時もあるけど、今日は別に疲れてもいいって日は『よし、頑張ろう!』って起きて、顔のお手入れをするとか、資料とか雑誌や本を見るとか。毎日じゃないけど、そういう何も考えず自分のことだけを考えてるという時間を作っていますね」と、睡眠時間を削って自由時間を生み出していると明かした。
河瀨は「お風呂ですね。子供が小さいと、お風呂にもゆっくり入れないから、近所の銭湯行っておばちゃんたちにお子供見てもらってゆっくり湯船に浸かるってことをやっていました。おばちゃんて子育て終わってるから見ててくれるんですよ。『えぇよえぇよ、見といたるからゆっくり髪洗い?』って。それがすごい“自分時間”になってました」と告白。
「都市部ではきっとそういうことが失われつつあって、子育てが自分ひとりのものになってしまってるんですよね。パートとかで働いてても、家や子育ての全部が自分の責任になっててしまう」と憂える河瀨。「よく、お父さんが『俺は外で頑張って働いてるんだから、家でくらいはゆっくりしたい』って言うけど、あなたの仕事はプランニングできるでしょ? 子育てはプランニングできないんだよ? ってやつですね。いつ何が起こるか分からない、予期も失敗もできない次がすぐ出てくる、このストレス。このプランニングできない仕事を、どうシェアしていくか。地域やスタッフの力を借りていいと思うんです。自分1人じゃできないので」と訴えた。
仲間も「私も仕事と家のこととどう両立しようと頑張ってる皆さんも同じだと思う。周りの力を借りながら、自分らしく生きていきましょう」と同意。河瀨は「働くということはおそらく社会の中で、自分自身の輝きをシェアすることかなって思います。結局それって1人ではできなくて、輝きが輝きを生んで輝き出す、そういう女性たちの輝きを、みんなが欲しがってると思います。頑張りましょう」とまとめていた。
◆取材・文=坂戸希和美