“書くリハビリ”みたいなところから始めました
――実際、書く作業をやってみてどうでしたか?
最初、「ざっくばらんに書いて、何でもいいので送ってきてください」って言ってもらったんですけど、まぁ、全然進みませんでした(笑)。取り掛かるのも遅いし、確実に期日を守れてないし、何事もそうなんですけど、最初の一歩を踏み出すことがなかなかできない性分なんです。
お話をいただいたのが1年ちょっと前なので、ステイホームの時期ということで、時間もあるし、書くには一番いい時だったんですけど(笑)。そういう感じで、少し時間が経ってから“書くリハビリ”みたいなところから始めました。
書き始めてからも、読み返してみたら納得いかなくて全部カットしたり、書いては消して、書いては消して…。「もう無理かも。書けない…」って心が折れた瞬間が何度もありましたね。これが完成したのは、編集の方とか、この本に関わってくれた方々がとにかく温かい目で見守ってくれたからなんです。
――書き進めるうちに、いい感じになっていった、と。
そうですね。何事もそうなんですけど、最初の一歩を踏み出すことがなかなかできない性分なんです(笑)。でも、仕事に向かう時とか家に帰るまでの時間でパーっと書いたりしていて、だんだんそれが心地よくなっていった感じはあります。思っていることとかを書くと頭の中が整理できますし、なんか健康的だなって。
もう、後半は楽しかったです。「思いついた!」とか「書けるかも!」ってどんどん書き進めていきました。進み過ぎるので、逆に「でも、書いたら終わっちゃう…」って言う変な感情にもなりました(笑)。
――ちなみに、タイトルはいつごろ決めたんですか?
もともと、Twitterのプロフィルに「【さり】ではなく【さいり】です。」と書いていて、出版社の方が「一旦、これをタイトルにしましょう」って提案してくれたんです。「これ、面白いと思いますよ」って。
確かに、本の中身は章ごとにタイトルが付いてますけど、本のタイトルってなった時に、ちょっと寒いタイトルをつけたらヤバいじゃないですか。私、自分に酔っちゃって付けてしまいがちなので(笑)。だったら、これがこの本のタイトルでも良いなって思ったんです。タイトルを言うたびに私の名前も覚えてもらえるし、一石二鳥かなって。今も“さり”だと思ってる方が多いですからね。
発売日:6月10日(木)
著者:伊藤沙莉
定価:1980円
発行:株式会社KADOKAWA