映画「3月のライオン」神木隆之介 初の二部作主演の重圧で胃痛!?
羽海野チカの人気コミックを映画化した「3月のライオン」(前編 3月18日・土公開/後編 4月22日・土公開)で主演を務めた神木隆之介。若き天才と称される17歳のプロ棋士・桐山零を演じた彼に、この映画に対する思いや撮影の裏話を聞いた。
漫画の実写化はリスクが大きいと思う
――原作のファンだったそうですが、原作との出会いはいつごろでしたか?
20歳ぐらいのときです。知り合いに「これ面白いから読んでごらんよ」と言われて。本当にふとした瞬間の出会いでした。最初は普通に将棋の漫画だと思って読んでいたのですが、棋譜の読み方がわからなくても楽しめるというか、それ以上に人間の温かさや、答えのない人間の迷いや気持ちがストレートに伝わってくる漫画だと思いました。
――出演のオファーが来たときと、脚本を初めて読んだときの感想を教えてください。
お話をいただいたときは、うれしかったです。しかし、こう感じてほしいという答えがない原作だと思いましたし、自分がそう思ってしまったからこそ、それを自分で表現しなくてはいけないのは大変だし、すごく難しい作品だなと思いました。というのも、僕が読んで、ほかの誰かが読んだとしても、僕とその誰かでは違う意見があって、それについて楽しく話せる原作だからこそ、答えを出してはいけないんだろうなと。大友(啓史)監督とも「日常だからこそ、決めごとを作っちゃダメだよね」という話をしていて。これといった正解もないから「自由に一回やってみようか」というのを繰り返していました。原作でもポイントとなる体勢や動き、タイミングというのはあるのですが、それにとらわれ過ぎてしまうと、ただのまねごとになってしまうし、それは絶対にイヤだったから、零を通して感じたままに演じようと思いました。
――もし実写化されるなら、「桐山零役は神木さんがいい」という声がネット上にあったことをご存知でしたか?
僕も作品について自分で調べたりしていたので、知っていました。そんなことを言っていただけるのは奇跡だと思うので、すごくうれしいですし、ありがたいです。漫画と実写では、2次元と3次元で次元数が違ってきますし、原作ファンの方も大勢いらっしゃるので漫画の実写化はリスクが大きいと思うんです。それこそ僕も好きな漫画が実写化されて、観客として思うこともあるので、そう言ってくださるのは本当に奇跡に近いと思っています。
将棋は盤上のコミュニケーション
――子供のころはおじいさんと将棋をされていたそうですが、今回、プロ棋士という役柄で、将棋の難しさをどこに感じましたか?
いくら将棋をしていたとはいえ、おじいちゃんが我流だったので、僕も我流で。今回、撮影が始まる前にレッスンを受けさせていただいたのですが、相手と盤上で会話をしているような感じがして、将棋はコミュニケーションなんだと思いました。もちろん、盤上での駆け引きもありますし、逆に「あなたはどの囲い方ですか?」という質問状もあるんです。このような意味を込めて、この譜をつきましたという。それで相手がこうしたら、「僕は攻めますよ」という意味を込めて進めていくのですが、そういう自分の意思表示も含めて、盤上で会話しているんだなと。プロ棋士の方となると、もっと次元が違うのだと思いますが、レッスンを通して、その感覚が味わえたのはよかったなと思います。
――将棋の先生から「かなり筋がいい」と言われたそうですね。
お世辞でしょうか(笑)。でも、たまに先生に勝てることがあったんです。とはいえ、先生がどこで甘い手を打ったのかも、なぜ僕が勝ったのかも全然分からなくて。いつもそれが疑問でした(笑)。
――大友啓史監督は「対局シーンは殺陣と同じだ」とおっしゃっていたそうですが、撮影しているときは本当にそういう感覚でしたか?
本気で戦っていました。向かい合った相手が容赦なく倒そうと思ってこられるから、僕も油断したら飛ばされるんです。なので、絶対に負けたくないという気持ちや、どうすればこの人を負かすことができるのかを第一に考えながら演じていました。大友監督とは「るろうに剣心」('14年)でもご一緒しましたが、「るろうに剣心」の殺陣とはまた違う疲れ方をしていたと思います。精神力も体力も削られていきましたが、きちんと戦えていたのではないかなと思います。
――指し手の流れを覚えて、そこに感情を乗せていくのは難しくなかったですか?
意外と大丈夫でした。普通に指していたら、そのような流れになるので。あと、レッスンをしていただいた先生に一手、一手を解説していただいていたので、それがとても役に立ったと思います。とはいえ、頭はすごく使っていました。
取材・文=馬場英美/スタイリスト=猪塚慶太/ヘア&メーク=INOMATA
「3月のライオン 前編/後編」
3月18日(土)、4月22日(土)公開
監督=大友啓史/出演=神木隆之介、有村架純、倉科カナ、染谷翔太、清原果耶、佐々木蔵之介、加瀬亮、前田吟、高橋一生、伊藤英明、豊川悦司ほか
配給=東宝・アスミックエース
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