「緊急取調室」はロサンゼルスに行ってから、唯一見ていた日本のドラマなんです。会話がものすごく面白くて、テーマがとても深いところにありますし、“今の時代に耐えられるのはこのドラマだけ”というくらいのクオリティーだと思います。
実は今回、脚本の井上由美子さんとほかの作品の話をしていたとき、「『緊急取調室』に出ない?」と言われたんですよ。しかも、50年間地下に潜っていた活動家の役だと聞いて、「それならば、真壁に取り調べしてもらいたい!」と思ったんです。とにかく真壁に会いたくて…。
天海さんとは前にちょっと飲んだことがあったんですけど、一緒に飲んでいてもこんなに気持ちのいい女はいないので、また会いたかったんですよ!
共演してみたら、とにかく人柄が最高にいいし、座長としての仕切りから気遣いから、見事なの! 彼女を見ていると、今から娘を産んで宝塚に入れようかと思うくらい、素晴らしいわけ。しかも、知力がとても高い方なんですよ。台本の内容に関して、これだけしゃべれる女子に会ったのは初めて。桃井かおり史上最高の女優です!
深いところから演じてくれるし、“アニキ”みたいに私のこともものすごく支えてくれるし…すごく好き! すっかりほれてしまい、撮影最終日には交際を申し込みました(笑)。
撮影は困難なシーンもいっぱいあったけど、ものすごく楽しかったです。実は、井上さんの脚本は、誰も気づかないうちに何か新しいテーマをひとつ生み落としているんですよ。今回私が感じたテーマは「時間」。
塔子が潜伏していた50年という時間の重さ、過ぎてしまった時間や老けていくことのきつさ…。そういったことを、実際に現場で演じながら、感じたんです。また、塔子にはこの50年間、自分に対してムキになってかかってきてくれる人なんていなかった。
だから、真正面からぶつかってくる真壁と出会い、ものすごく怒っているけれど、“ものすごく幸せな大喧嘩”をして、自分自身を発散することができるんです。実際に演じることで、またひとつ新しいテーマも突っ込めたんじゃないかな、という手応えを感じるラストシーンを撮ることができました。
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