2005年に14歳で国民的アニメ「ドラえもん」のジャイアン役に抜てきされて以来、アニメを中心に舞台やバラエティー番組などで活躍中の声優・木村昴。声優界随一のラップ好きとして知られる彼は、「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」の山田一郎役で見事なラップを披露するだけでなく、好良瓶太郎の名義で作詞を手掛けるなど、アニメ界とヒップホップカルチャーの架け橋的存在としても知られている。また、2019年からはラッパーの掌幻とユニット「掌幻と昴」を結成して音楽活動も展開する彼が、6月27日(日)14:00からカートゥーン ネットワークで放送される「新 ルーニー・テューンズ」日本語吹替版にゲスト参加する。
木村が吹き替えを務めるのは、森の中で開催されたラップバトルで負けたウサギのバッグス・バニーに、ラップのノウハウを教えるアメリカを代表する人気ラッパー、スヌープ・ドッグ役。今回、木村はカートゥーン ネットワークで限定放送されるオリジナルのラップも披露。収録では、聴いているだけで元気になれるポップでパワフルなラップを次々に繰り出し、さらに自らリテイクを希望するなど、納得のいくフロウ(歌い回し)を追求する、アーティストとしてのこだわりも見せた。そんな木村に収録後、インタビューを敢行。リスペクトしているアーティストの声を担当するが故のこだわりなどを聞いた。
――「新 ルーニー・テューンズ」でスヌープ・ドッグ役のオファーをもらった時の感想をお聞かせください。
「めちゃめちゃテンションが上がりました。マネージャーさんから事務所に来てくださいって言われて、何だろう怒られるのかなと思って行ったら、『新 ルーニー・テューンズ』のキャラクターが決まりましたと言われたんです。さらにラッパーさんですって言われて、誰だろうって思っていたら『スヌープ・ドッグです』って。スヌープ・ドッグがボイスキャストを担当した役ですか?って聞いたら『いえ、スヌープ・ドッグです』と言われたので、台本を読んだらスヌープ・ドッグが本人役を演じていて、その吹替版を担当させていただけるということだったんです。僕が大のラップ好きということもあるんですけど、すごく嬉しかったです。スヌープ・ドッグの声をやらせていただける日が来るなんて、夢のようでしたね」
――「新 ルーニー・テューンズ」にスーパースターのスヌープが本人役で出演することは驚かれましたか?
「アメリカ人ラッパーでコメディアンのリル・ディッキーの『Earth』という全編アニメーションで作られているPVがあるんですけど、そこにスヌープ・ドッグも、とある植物の役で出演しているんですよ。それを見て『スヌープ・ドッグって意外とアニメにしたら面白いな。似合うな』って思っていたので、今回のゲスト出演も、僕は違和感ありませんでしたね。まず、作品内でのスヌープのフォルムがいいですよね。彼のルックスはすごく特徴があるので、絵にした時に映えるなって感じました」
――今回、演じてみての感想をお聞かせください。
「難しかったですね。声はなるべく寄せたいと思ってトライしました。もちろん全く同じではなく、日本語がちゃんと届く声にしようと考えて演じたんですけど、しゃべりの特徴みたいなのが日本語にした途端に失われてしまって。個人的なこだわりなんですけど、せっかくスヌープを演じるなら、彼のクセをちゃんと表現したいと思ったんです。彼は鼻でしゃべるような感じなんですけど、それを何とか日本語で出せたらいいなと思ってアフレコに臨みました。収録では結構リテイクを重ねましたね。音響監督さんからはOKをいただくんですけど、自分自身が納得できなくて、『OKでーす』『いえ、もう一回やらせてください!』を繰り返していました(笑)。でも、スヌープ・ドッグの日本語版として、彼に恥じないようにやりつつ、日本語としての醍醐味もちゃんと残せた吹き替えになったと思います」
――放送を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。
「これまでの『新 ルーニー・テューンズ』も楽しいので見ていただきたいんですけど、今回のスヌープ・ドッグが登場する回は特にゴキゲン度合いがマシマシです。バッグス・バニーたちがバトルに負けて悔しい思いをしているところにスヌープが師匠として現れて、ラップスキルを身に付けて最終的に勝つ。相手をボコボコにするのではなく、ちゃんと分かり合うストーリー展開は王道だけど、現代風にポップでコミカルな物語になっているので、楽しんで見ていただけたら嬉しいです」
文・撮影=中村実香