小川紗良、初の長編監督作きっかけに保育士免許を取得「子どもって面白いなと思って」

小川紗良●撮影:宮川朋久

――初の長編監督作品となる「海辺の金魚」が6月25日(金)より公開されます。今の率直な気持ちを教えてください。

この作品を撮ったのは、2019年の夏でした。その後、編集の段階でコロナ禍に差し掛かって公開が延期となり、編集所が使えない時期もありました。撮影から結構時間が経ってしまいましたが、それでも何とかこうして映画館で上映できるようになり、また、お客さんに観てもらえるようになって、本当に良かったという気持ちです。

――児童養護施設を舞台にしようと思ったのはなぜでしょうか?

今作はテーマとして、一人の女の子が自分の人生を歩んでいく瞬間を描きたいという想いが一番大きくありました。また、物語を作っていく上で、私自身、これまで様々な状況に置かれた子どもたちを描いた本やドキュメンタリーにたくさん触れてきて、そこへの関心や個人的な思い入れがあったので、自然と児童養護施設で暮らす女の子の話になったという感じです。

――「一人の女の子が自分の人生を歩む」という主題は、「海辺の金魚」というタイトルと、どのように関係しているのでしょうか?

金魚は、自然界では生きられず、人間の管理のもとでしか生きていけません。子どもという存在も、誰かに守ってもらわないと生きていけないじゃないですか。主人公の花は、施設を出なきゃいけないタイミングですが、まだ広い世界を知りません。そういう花の姿を、金魚というモチーフに重ねて描きました。

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