――主演に小川未祐さんを抜擢した理由はなんでしょうか?
小川未祐さんとはもともと、私が学生時代に作った「最期の星」という短編映画に出てくれた縁があります。久々に再会した時、彼女は18歳になるころで、その時なりの野望とか葛藤とか、色々な感情の渦みたいなものを話してくれて。そのアンバランスさや情熱が、等身大で良いなと。そんな彼女の姿を見て、また一緒に映画が撮りたくなりました。「海辺の金魚」は、小川未祐さんありきで始まった作品なんです。
――撮影時の印象的なエピソードを教えてください。
今作では、子どもたちがたくさん出ているのですが、子役ではなく、ロケ地の(鹿児島県)阿久根市に暮らす地元の子たちを起用したんですよ。子役の場合、お母さんが付き添いで来て、その見守りのもとで撮影するのが普通です。
でも今回は、保護者の方は基本的に送り迎えだけで、撮影現場には、協力してくださっている保育士さんと撮影スタッフしかいませんでした。親御さんが近くにいない状況は、施設という設定には合っていて良かったのですが、急にどこかへ行ってしまったり、喧嘩をし始めたりと、子どもたちはとにかく自由で、それをまとめるのが大変でしたね。急にグズってしまう子もいましたし。でも、そのグズっている様子もうまく取り込みながら、基本的に子どもたちには自然のままでいてもらい、いかにフィクションの中に落とし込んでいくかを現場で考えていました。
――最初からキャストとして地元の子たちを起用することを決めていたのでしょうか?
一応、子役のオーディションと、地元の子のオーディション、2つ行ったのですが、やっぱり、今回はロケ地の自然の中で馴染んでいる子どもたちがいいなと思い、そちらを起用することに決めました。
6月25日より全国公開
幼い頃より児童養護施設で暮らす18歳の高校生・花(小川未祐)が施設で過ごす最後の夏、自分と似た境遇を持つ一人の少女・晴海との出会いを通して、自分の過去と向き合い、成長していく物語。