TPD櫻井紗季、もしプライベートで“部活”を作るなら「私の写真を撮ってくれる部活がいい(笑)」
――俳句を詠むようになって、言葉に対して敏感になりましたか?
塚地:毎月10個の宿題を与えられますから。言葉もそうですし、街を歩いていてもいろんなものを見るようになりました。
櫻井:それ、分かります。
塚地:ロケで地方に行ったら、東京では見られない景色を目に焼き付けて一句詠もうという気持ちになるんです。旅先での楽しみ方が増えましたね。例えば、紗季ちゃんの句を聞いていると生まれ故郷の情景が浮かんでくるし、要次さんだったら猫、まい子さんは野菜とか。詠んでいる人の生活だったり好みだったりを知ることができるのも俳句の面白さなのかなと思います。
――宿題のことは常に気になっていますか?
塚地:毎日一句詠んだらあっという間に終わるなと思って10日前ぐらいから準備を始めるんですけど、結局最終日に苦戦しながら作っています(笑)。
――夏休みの宿題みたいですね。
塚地:ホント、そうなんです。
櫻井:私は、3カ月に一回スタジオに来るというペースになってからは、コツコツ派に変わりました。
塚地:すごい進歩だね。
櫻井:今、詠めそうだなと思った時にその情景を文章にして、あとで一つ一つ推敲しながら進めていきます。
塚地:僕なんかはどこか泥くさいというか、生活の中でのことを詠みがちなんですけど、紗季ちゃんはすごく詩的。情景の表現の仕方が上手だから、作詞とかに向いているんやないかなって。
櫻井:ホントですか!
塚地:説明し過ぎないというか、歌詞って誰もが聴いたことがあるようなフレーズが並んでいるんだけど、聴く人によって感じ方が違いますから。あまり難しいことを歌っていない方が聴いている人の心に響くのかなって。それぞれが自由にいろんなことをイメージできるような気がするんです。
櫻井:ちょっと、新しい道が開けたような気がします。
――今回のテーマ「ハンカチ」は詠みやすかったですか?
櫻井:私は難しかったです。
塚地:生活に根付いているし、自分の手元にあるものだったので僕は詠みやすかったです。むしろ「夏木立」なんて言われたら何のことやろってなってしまいます。木は1本なのか、山の方にあるのか。情景が浮かびにくいんです。その点、ハンカチだったら、めし食って汗をかいた時に使うよなって、すぐにイメージできる。比較的詠みやすいんですけど、だからといって詠んだ句がほめられるかどうかは分からない。そこが俳句の難しいところです。
櫻井:私は、最近山に登ったので「夏木立」の方がイメージしやすい。ハンカチは手を洗った時に拭くぐらいしか思いつかないから大変でした。
――これから俳句を始めたいと思っている人にアドバイスをするとしたら?
塚地:きれいな景色を見て感じたことを、そのまま詠むことから始めるととっつきやすいかもしれません。そんなにひねらなくていいんです。例えば(目の前にあるものを見ながら)アクリル板が並んでいるとか、ICレコーダー三つどもえとか(笑)。
櫻井:早い!(笑)
塚地:何でもいいから「5・7・5」で詠んでみたらいいんじゃないですかね。
櫻井:写真を撮る代わりに一句詠むと、あとでその時のことを思い出すことができる楽しさがあるんです。もちろん、難しさもあるんですけど、実際にやってみたら本当に面白い。自分が少しずつ成長していく過程も分かるし、五感を研ぎ澄まして詠むので感性が豊かになります。私と同世代の人にも詠んでもらいたい。
――俳句の難しさは「季語」なのかなと思うのですが…。
塚地:そうなんですよね。「5・7・5」だけやったら作りやすいんでしょうけど。
――季語に関しては詠みながら覚えていくしかない?
塚地:今だったらネットでも調べられますから。与えられたお題の中にどんな季語を入れたらいいのか。それを考える面白さがあります。
櫻井:俳句を作る時は、歳時記が必須です!
塚地:まずは時間帯の言葉を覚えるといいかもしれないですね。「夏の夕」「夏の夜」「春の夜」とか。季節や時間帯など、生活になじんだ言葉がたくさんあります。
櫻井:でも「夏の朝」は、夏の季語じゃなかったんです。
塚地:えっ、朝はないの?
櫻井:「夏の朝」を使おうと思ったらなかったんです。
塚地:何でやろう。こういうところが難しいんですよね。でも、その決められたルールの中で、いろいろ考えながら作る楽しさを味わっていただけたらうれしいです。
――俳句を作る上で、身近なライバルはいますか?
塚地:ライバルというよりは、櫂先生から「バッチリ!」をもらいたい(笑)。
櫻井:ほめられたいです。
――櫂先生の好みは何となくつかめてきたんですか?
塚地:これをやったら怒られるというのは、大体分かってきました。
櫻井:私も何となく分かります(笑)。
塚地:ただ…、戦いたいなって思う時もあるんです。サンダルやバス停とかカタカナはあまり好きじゃないみたいなんですけど、あえて使ってみたりして。
櫻井:その気持ち分かります。挑戦したい時があるんです。私は以前、建物を表現する時に「ビルディング」という言葉を使ったらほめられたんです。
塚地:うわ~、それはすごいね。やっぱり、言葉の佇まいみたいなものがあるじゃないですか。前後の言葉とうまくハマったらいい味が出ますからね。
――「ビルディング」なんて、普段の会話でも出てこないですよね?
塚地:「ビル」で終わりますもんね。
櫻井:単純に字数が足りなかったんです(笑)。
塚地:でも、挑戦することが大事なんです。