そんな苦労のあったグリーンバックでの撮影は、演じている役者にとっても苦労が多い。田中は「できるだけ撮影の時点で用意できる具体的なイメージは事前にお見せできるような形で用意しました。VFXチームが、CGの人物をフランスで撮影した素材にあて、雰囲気をつかんで頂いたり、当時の絵や写真を伸ばしてセットに置いて、こんな感じの風景がひろがっているんだよということを伝えて臨みました」と語った。
昭武とナポレオン三世が謁見するシーンを田中は「板垣さんは、ナポレオン三世との謁見は難しかったのかと思います。目線の先にナポレオン三世がいるわけですが、その距離感がどのくらいなのかとかどんな視線で見ているのかはよくわからなかったと思うので。目線の位置などは棒などで示していたのですが、役者さんは相手との芝居の中で気持ちを作ったり、感情が動いたりすると思うので、相手がいないという事へのストレスはあったのではないかと思います。ですが、素晴らしく凛々しい演技を見せてくださいました」とグリーンバックでの演技の難しさを語った。
そんな中、吉沢に対しての印象を田中は「吉沢さんは大変だったとは思いますが、結構楽しんでやってくれていた印象です。本人の中でイマジネーションを膨らませて下さって、思いきった芝居をしていただいたので、僕の印象では困っていたということはなかったかと思います。そこが彼のすごいところだと思うのですが、すごく楽しんでいる印象でした」と振り返った。
そして、“パリ編”での吉沢演じる篤太夫の見どころを田中は「第22回~24回がパリ編なのですが、かつて攘夷の志士、外国嫌いだった篤太夫がいかに外国の人々と交流し、外国の人々を理解するのかという所が見どころです」と語り、
続けて、「篤太夫の新しいことを飲み込む能力、物事に感動し、受け入れるところをより強く吉沢さんには演じていただきました。篤太夫が篤太夫たるゆえんといいますか、新しい環境や物事に円四郎(堤真一)と共鳴した『おかしれぇ』という考えをパリでも発揮させたからこそ、“渋沢栄一”という人物はこんなにも大物になれたんだということを表現したつもりです。吉沢さんもその意図を汲んですごくビビットに演じてくれました」と語った。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)