しかしそんな両者にとって、ラジオの存在は大きな転機となった。テレビや一般的なイメージとは異なる姿を見せることで、新たなファン層の獲得につながったのだ。
向井は、2018年から愛知県のCBCラジオで「#むかいの喋り方」のパーソナリティを務めているが、同ラジオで向井は度々、収録での失敗や私生活や人間関係でうまくいかない様子について語る。
たとえば7月6日放送回では、見取り図の盛山晋太郎に劇場で話した際に、連絡先交換を切り出すべきところ切り出すことができずに、結局その後にTwitterのDMで教えたことを明かした。また、サウナを訪れたがたまたま月1の館内清掃にあたってしまったなどという日常の不運について、「“向井”だなあ」と自虐し、多くのリスナーから共感を集めている。
若林にしても、2009年から「オードリーのオールナイトニッポン」がレギュラー番組でスタートしたことが、芸人生活における大きな転換点となった。
「オールナイトニッポン」開始当時は特に、ある雑誌の撮影時に「虎の被り物」をすることを求められたが被らなかったことなど、「M-1」準優勝後のブレイクによる多くの新たな仕事への戸惑いや悩みについて吐露していた。
「オードリーのオールナイトニッポン」はその後も現在まで続く人気長寿番組になり、その過程で若林も“おじさん”になることなど、変化する悩みに都度向き合い、ラジオで伝えてきた。
そういった若林の姿が垣間見える「オードリーのオールナイトニッポン」に対して、“リトルトゥース”(「オードリーのオールナイトニッポン」の呼称)として知られるCreepy NutsのDJ松永は、「生き様が見える。ドキュメントだなって思います」と表現する。
向井は「若林ロス」に……お互いにシンパシーを感じる両者
また、向井と若林は、お互いにシンパシーを感じているようだ。向井はヘビーなリトルトゥースとしても知られ、若林の結婚発表時には“若林ロス”になったことをラジオで打ち明けていた。
一方の若林は、向井に対して「なんとなく自分と似てる」と評し、相方を際立たせるために個性を消していたという話の流れから「大槻ケンヂさんみたいなメイクでデビューすればよかった。俺と、ティモンディ前田くんとパンサー向井くんは“顔に線入れた方がよい芸人”」ともラジオで述べていた。