「1300万人分の2の奇跡」を起こした百音と菅波
百音と菅波のすれ違い、どれだけ引っ張るのか、“こんなに近くにいるのに〜”と視聴者はもやもやしていた。すれ違いの古典的名作で朝ドラにもなっている「君の名は」の前例もある。
すれ違い過ぎて主人公が途中でほかの人と結婚してしまう物語といえば「半分、青い。」(2018年度前期)もそうだった。
だが「モネ」はそこまでおおごとにはならず、第54回でふたりは4カ月ぶりに再会した。登米でお別れする時、東京で偶然出会えるかもと百音が言うと、菅波は「1300万人分の2の奇跡」だからありえないと一笑に付したもののわりにあっさりと。
だから菅波は「納得いきませんね」と不満顔をする。とはいえやっぱり菅波は百音にとって頼れる人。百音の仕事の悩みを真摯に聞いてくれる。洗濯が仕上がるまでの10分間という限定された時間もエモかった。
ところで。いまさら説明するまでもないだろうが、菅波は登米の診療所と東京の病院を行き来している医者で、百音の気象予報士の試験勉強を親切に手伝ってくれた人物。理屈っぽくて独特の価値観を持っていて意外なことにこだわる。
でも根は真面目で誠実。百音とは相性が良さそうで登米の人たちはあたたかく進展を見守っていたが、あまりにふたりの間に何も起こらずジリジリしていた。視聴者もまったく同じであった。