14段のロングソフトクリームを130円で売る食堂、しょうゆラーメン500円にチャーハン食べ放題が付いてくる中華屋、専用の器具に吊されて出てくる長さ30cm超のエビフライ、1品頼んだだけでサービス品がテーブルを埋め尽くす韓国料理店……。
常識外れの飲食店が毎週出てくる、「ヒューマングルメンタリー オモウマい店」(毎週火曜夜7:00-7:56、日本テレビ系)から目が離せないでいる。よくあるグルメ番組だと思ったら大間違いだった。
「オモウマい店」では、スタッフが日本全国を駆け回り、見つけたお店に取材交渉。OKならばお店に短期間密着する。出てくる料理はどれも美味しそうなうえ、法外にデカかったり安かったりするのだが、なんといっても魅力的なのは店主たちだ。
「安くてお腹いっぱい食べてもらいたい」魅力的な店主たち
どの店主たちも皆、過剰サービスでお客さんを集めようとは考えていない。原動力には「安くてお腹いっぱい食べてもらいたい」「お金をとっては申し訳ない」という、ただただ圧倒的な「善」がある。
「しみったれたことが嫌い」と、げんこつハンバーグみたいな大きさのネギトロ軍艦(400円)を出す店主もいれば、「味がさっぱりしているから」という理由だけでラーメンを100円にする店もある。何でも398円に設定しているのに、「家賃払わなきゃだからアハハ」と笑いながら空き時間にUber EATSで働く店主までいた。いい人にも程があるだろう。そこまでするなら値上げしていいから! と思わず拳を握りしめてしまう。
「オモウマい店」のVTRはスタッフの単独取材でできているので、いわゆる「グルメレポーター」はいない。スタッフが持つ手持ちカメラはブレブレで、時にはその辺に置いたまま撮っていることもある。
でもそのカメラは、休憩時間に胸の内を明かし、深夜まで仕込みを続け、お客さんに笑顔で話しかける店主の姿をリアルに映し出す。そんな馬鹿なと思うサービスにも店主の思いがあるのだ。「ヒューマングルメンタリー」の看板は伊達じゃない。